2014年12月31日

2014年(シーズン)お疲れ様でした

1年間皆様、お疲れ様でした。

「院長ブログ」は今シーズン、なかなか顔を出せないまま大晦日を迎えました。

毎日の診療では100点満点を目指し、朝の診療がスタートします。
夕方の外来診療を終え、夜間透析診療まで終了して1日を振り返りますが、
なかなか反省の毎日であります。

そして1年間を振り返ってみると、2015年シーズンに向けての宿題が山積しています。
しかし、「正しいと信じている自分の考えに基づく真心の医療」は
開院以来、初心を忘れずに毎日続けてきました。

誠医会の理念「地域に根ざし、いのちへの畏敬を基本におく医療」を実践するべく、
地域の日々のプライマリーケア
「身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療」となる
①温泉治療浴を含めた「一般内科/呼吸器内科外来診療」
②専門領域となる腎臓内科での「CKD診療」
③透析室での「透析診療」

当院では①②③の診療が毎日行われています。

2014年は有田副院長の診療が開始され、地域に根ざす医療にも磨きがかかりました。
①②③の診療は、誠医会の基本であり、大切なライフワークです。

2015年は、2014年の宿題を解決し、成長していけるように、そして
さらに新しい展開を目指していけるような診療を考えています。

2015年も松山医院大分腎臓内科を宜しくお願いいたします。


追記
2015年シーズンの大分トリニータもホーム戦では2014年シーズン以上の勝利数を
目指せると信じています。時間がとれたらホーム戦には行きたいです。
  

Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 09:37医院について

2014年03月10日

Jリーグ大分トリニータ490日ぶりのホーム戦勝利!

Jリーグ2013年シーズンの大分トリニータは、ホーム戦全試合未勝利の前代未聞の不名誉なJリーグ記録を作ってしまいましたが、J2リーグ降格となってのホーム開幕試合(2014年3月9日J2第2節)で久しぶりにホーム戦に勝利することができました!

我ら大分トリニータがホームでギラヴァンツ北九州を「1-0」で下し、今季初勝利を挙げました。昨季戦ったJ1ではホームで白星を挙げることが出来なかったため、
リーグ戦のホーム白星は一昨年(2012年)11月4日のJ2第41節山形戦「3−0」勝利以来、490日(1年4ヶ月)ぶりとなります。

試合内容は、シュート数15−5(北九州)であり、ボールポゼッション(保持率)は大分トリニータが圧倒したゲーム展開でした。昨シーズンのJ1戦と比べるとJ2ではこれからも勝ち続けていけそうな期待が持てる印象を与えてくれましたが、後半26分の高松選手の得点でリードした後は、逆に北九州に主導権を奪われてしまい、猛攻を耐えしのぐ時間帯に転じました。相手シュートがポストに撥ねられるなど運にも助けられました。

「去年の雪辱を果たす為、何度でも這い上がれ」の横断幕がホーム応援席に掲げられたホーム開幕試合戦の観客数は8843人と1万人超えはなりませんでしたが、来週3月16日(日)
13:00キックオフのJ2第3節は、対カマタマーレ讃岐とのホーム(大銀ドーム)戦です。
ホーム開幕試合2連勝をスタジアムで体感しましょう!




クラブ創立20周年ホーム開幕試合(2014年3月9日J2第2節) 『GO!20th』




大分トリニータ公式サイト

  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 05:31オフタイム

2014年01月26日

2014年1月4日より有田和弘副院長の診療がスタートしました!

院長ブログへ訪問の皆さんお久しぶりです。
月1程度の更新で立ち上げた本ブログですが、日々に追われてしまいなかなかコチラに目を向けられず、「2013年10月20日号」を最後に野放し状態になっていました。

自分の中で次回ブログのテーマ(2013年11月号)は決まっていたのですが。。。
“今シーズンのホーム初勝利!大分トリニータ”幻と化したタイトルです。
シーズン中ホーム未勝利は、Jリーグ史上初の屈辱的な記録となりました。
元気になれる発信をと思っていましたが、あっという間に2013年シーズン終了。
そしてJ2降格の2014年シーズン開幕がもう迫ってきています。

2014年新体制におけるチームスローガンは
「前進×全心(ぜんしん)」



「前進×全心(ぜんしん)」“クラブ創設20周年という節目のシーズンを踏まえ、3度目のJ1昇格に向けて、そして大分トリニータの未来に向けて前に進んでいく。また、2013年の悔しい想いを胸に、個としても、チームとしても、トリニータを愛する全ての人の想いを背負い、全身全霊を掛けて闘い抜く。”(大分トリニータ公式ホームページより)

Jリーグ公式戦ホームでの最終勝利は、
2012年11月4日のJ2第41節vs山形戦の3−0が最後です。
もう1年3ヶ月近く大銀ドームでのJリーグ戦勝利から見放されています。
まずは、ホームでの勝利を我々サポーターに届けて欲しいものです。
2014年の大銀ドームでの初戦はJ2リーグ第2節(2014年3月9日)
vsギラヴァンツ北九州と九州ダービーです。

対戦成績は、1勝3分2敗と負越していますが、久しぶり(1年4ヶ月ぶり)ホームスタジアム勝利をもたらしてくれると信じて応援に行きたいと思います!

個人的には、J2リーグは日曜開催が基本となるのでJ1リーグ(水土開催)よりスタジアムに行きやすく、この点だけは良かったです。
J1リーグで観客動員数を増やすために試みるべきことは、我々のように土曜も通常就労をしている市民のスタジアム誘導を目的に日曜開催を増やすこと、あるいは土曜開催の場合は、デイゲームではなくナイトゲームにする等も検討して頂きたいです。
スカパーの都合も関与していると言われていますが。。。

本題ですが、2014年1月から我ら「松山医院大分腎臓内科」も新体制となりました。
副院長に有田和弘先生を新たに迎えて起動しています。
有田先生の「プロフィール」と専門領域の症状である「咳(せき)」について記載頂きました。尚、大分市在住の方は「にほうジャーナル2014年2月号」にも掲載されます。
コチラもチェック下さい!ちなみに「和弘」コンビとなりました。


有田和弘 副院長
有田和弘 副院長【プロフィール】
大分市出身。広島大学総合科学部から大阪大学大学院医学研究科に進み公衆衛生学で学位(医学博士)取得。その後、臨床医になるため高知医科大学入学。平成8年に医師免許取得後、大分医科大学内科学第二講座入局。大分医療センター、健康保険南海病院、西別府病院等を経て平成26年1月から松山医院大分腎臓内科に勤務。専門は呼吸器内科・感染症。日本内科学会認定内科医。日本呼吸器学会会員。


「長引く咳(せき)の原因」について
咳は誰にでも起こる自覚しやすい症状です。最も多いのは風邪をひいた場合にみられる乾いた咳ですが、通常1~2週間程度で収まります。しかし中には1カ月以上咳が持続する場合があります。この場合はいろいろな呼吸器の病気が隠れていることがあります。

咳は肺や気管支に何らかの異物が入った時に、これを排除しようとする生体防御機構として起こります。ホコリ、ウイルス、アレルギー物質、炎症、腫瘍などの刺激を感知して咳という反射運動が生じます。

咳の原因で一番多いのは風邪ですが、咳とともに発熱が持続する場合は肺炎の可能性もあります。特にマイコプラズマ肺炎は若い世代に多くみられ、乾いた咳(空咳)が長く続く傾向にあります。一方高齢の方や脳梗塞等で寝たきりの方では唾液や食物が肺の中に入って発症する誤嚥性(ごえんせい)肺炎が多くみられます。
さらに結核や百日咳のような人から人に感染する伝染病で咳が続く場合もあります。

非感染性の咳で最も多いのは咳喘息です。これは気管支が様々な刺激に対し過敏に反応し乾いた咳発作が続くものでいわゆる気管支喘息発作の一歩手前の状態と考えられています。また長期間喫煙をされている方ではCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を発症して慢性的な咳、喀痰が続くことがあります。呼吸器以外の原因としては逆流性食道炎や副鼻腔気管支症候群によるものがあります。前者は胃酸が逆流することが原因で後者は慢性副鼻腔炎による症状が関係しています。さらに生命にかかわるものとしては肺癌が原因である場合もあります。

以上のように咳が続く病気は多岐にわたり、中には結核や肺癌のような極めて重大な疾患が隠れていることもあります。咳が長引くときは遠慮せずにかかりつけ医や近くの医療機関を受診されることをお勧めいたします。また当院では呼吸器疾患のみならず内科疾患全般について漢方薬を積極的に併用しております。漢方薬は症状が慢性化した場合には一般の薬よりも効果が期待される場合があります。
なお医療機関で処方される漢方薬には保険が適用されます。

以上、有田副院長からのメッセージでした。
まさに現在、上気道感染症シーズンまっただ中に突入してきましたが、
ちょっとした感冒でも放置せず早めに医療機関を受診しましょう!


大分トリニータ公式サイト
  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 09:22医院について

2013年10月20日

「タイ国医療技術者研修」CLAIR(クレア)って何ですか?

「東九州メディカルバレー構想」の取組の一つ “医療分野でのアジアへの貢献”を進めるため、タイから日本に医療技術者を研修生として受け入れ、血液透析を中心とした日本の医療機器操作・メンテナンス技術を習得するための研修を実施し、タイの医療水準向上及び日本製医療機器の普及拡大を目指していくための施設見学研修要請が当施設にあり受入れました。

2013年10月17日(木)8時30分から14時30分頃までの間、
「タイ国(ラチャウィティ病院)医療技術者研修」を実施しました。

今回の研修は、主に九州保健福祉大学にて行っていますが、医療機関研修としては、大分大学医学部附属病院、松山医院大分腎臓内科での実施となっています。今回の事業は、内閣府の関連のもと、財団法人自治体国際化協会(CLAIR)助成事業「平成25年度自治体国際協力促進事業(モデル事業)」の採択を受け実施しています。
見学及び研修には大分県庁担当者が協力し同行して実施されました。

【国家戦略特区】 東九州メディカルバレー海外展開戦略特区
~アジアをターゲットとした日本の透析医療技術・機器の普及促進に向けて~
国家戦略特区プロジェクトの大分県におけるリーダーは、大分大学医学部附属病院腎臓内科診療准教授兼血液浄化センター長補佐の友雅司先生です。友雅司先生は内閣府と大分県庁とのプロジェクトミーティングを繰り返し、プロジェクトの立ち上げから関わり現在から第1フェーズ段階のコントロールを行っています。東九州メディカルバレー構想特区が誇る高い技術力や産学官連携による人材育成の取組み、内閣府及びCLAIR助成事業を通じ、友雅司先生と松山医院大分腎臓内科では、透析治療の全体像等を紹介するとともに意見交換を今後も行っていきます。

今回のプロジェクトを通じて我々も世界観が広がりました。海外との交流に向けて内閣府関連組織では総務省所管の財団法人自治体国際化協会(Council of Local Authorities for International Relations:CLAIR クレア)と呼ばれる組織があることを認知しました。協会のプロフィールを確認すると、1988年に地方自治体の共同の機関として設立。
目的は、地域の国際化推進や対応等を支援することにより、地域が活性化し、住民の暮らしがより豊かになり、国際的な連携が強化され、共存共栄が図られることとしており、海外に7つの事務所(ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル、北京、シドニー)を設置運営し、国内外で様々な活動を行っている。 また、世界最大規模の人的交流プログラムの推進、自治体の海外における諸活動の支援、諸外国の地方自治に関する調査研究、日本の自治体による海外の自治体との交流・国際協力・観光や物産などの経済活動の支援、国内の多文化共生社会推進に向けた取り組み、など、「地域の国際化」のために幅広い役割を担っている。といった活動をしているようです。

国家戦略特区である東九州メディカルバレー構想は、内閣府(首相官邸)のもと政府開発援助ODA(Official Development Assistance)実施機関の一つである外務省所管の独立行政法人国際協力機構JICA(Japan International Cooperation Agency)ジャイカ、経済産業省所管の独立行政法人日本貿易振興機構JETRO(Japan External Trade Organization)ジェトロ、そして今回の総務省所管の財団法人自治体国際化協会CLAIR(Council of Local Authorities for International Relations)クレアといった各組織の活動がありプロジェクトが起動しています。

国家戦略特区としてオールジャパンで推進することにより、
日本の医療技術・サービスが獲得する海外市場の拡大を促進する。
東九州メディカルバレー海外展開戦略特区プロジェクト

東九州メディカルバレー海外展開戦略特区プロジェクト





























東九州メディカルバレー構想特区
東九州メディカルバレー構想
財団法人自治体国際化協会CLAIR(Council of Local Authorities for International Relations)クレア
【国家戦略特区】 東九州メディカルバレー海外展開戦略特区  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 11:48医院について

2013年08月31日

Forza 大分トリニータ

2009年以来4年ぶりのJ1復帰を果たした我ら大分トリニータですが、2013年シーズンは8月28日第23節終了時点で1勝15敗7分、勝ち点10のダントツ最下位です。2013年5月18日(土)に第12節のアウェイゲームでアルビレックス新潟に対して3−2での勝利以来、3ヶ月以上も勝利の女神から見放されています。
2013年8月31日は夏休み最後の土曜日にあり、次男と一緒に2013年トリニータのホーム初勝利を願いJ1第24節vs清水エスパルスのスタジアム観戦に行って来ました。

結果は、前半0−2、後半2−1の最終2−3とまたしても残念な結果でした。

2013年シーズンは、あと以下の10試合を残すのみです。

第25節 9月14日(土)  vs ベガルタ仙台
第26節 9月21日(土)  vs 湘南ベルマーレ  (HOME 大銀ドーム 19:00)
第27節 9月28日(土)  vs 鹿島アントラーズ
第28節 10月5日(土)  vs セレッソ大阪   (HOME 大銀ドーム 16:00)
第29節 10月19日(土)  vs 大宮アルディージャ
第30節 10月27日(日)  vs 横浜F・マリノス  (HOME 大銀ドーム 16:00)
第31節 11月10日(日)  vs アルビレックス新潟(HOME 大銀ドーム 16:00)
第32節 11月23日(日)  vs ヴァンフォーレ甲府
第33節 11月30日(土)  vs 川崎フロンターレ (HOME 大銀ドーム 17:00)
第34節 12月7日(土)  vs ジュビロ磐田

2013年8月31日第24節終了時点で1勝16敗7分の勝ち点10

ここであまり考えたくないのですが、考えざるを得ない事態の降格/残留ラインです。
つまり15位と16位以下の勝ち点について確認していかなければなりません。


昨シーズン2012年シーズンでは
15位 アルビレックス新潟   勝ち点40
16位 ヴィッセル神戸     勝ち点39 自動降格

17位 ガンバ大阪       勝ち点38 自動降格

18位 コンサドーレ札幌    勝ち点14 自動降格


2011年シーズン
15位 浦和レッズ       勝ち点36
16位 ヴァンフォーレ甲府   勝ち点33 自動降格

17位 アビスパ福岡      勝ち点22 自動降格

18位 モンテディオ山形    勝ち点21 自動降格


2010年シーズン
15位 ヴィッセル神戸     勝ち点38
16位 FC東京        勝ち点36 自動降格

17位 京都サンガF.C.     勝ち点19 自動降格

18位 湘南ベルマーレ     勝ち点16 自動降格


2009年シーズン
15位 モンテディオ山形    勝ち点39
16位 柏レイソル       勝ち点34 自動降格

17位 大分トリニータ     勝ち点30 自動降格

18位 ジェフユナイテッド千葉 勝ち点27 自動降格


大分トリニータが初めて降格した2009年から2012年までの4年間のうち残留に成功した15位チームの平均勝ち点は、38.3点
しかし、2012年は勝ち点39でもヴィッセル神戸は16位降格となっています。

過去4年間のJ1戦績から残留圏内に確実にとどまるためには、勝ち点40が必要です。

2013年8月31日現在の大分トリニータの勝ち点10

残り試合は上記10試合。
残留圏内の勝ち点40とするためには、勝ち点3×残10試合全ての勝利が必要です。

まさに奇跡の残留劇を演出しなければなりません!


Jリーグの連勝記録を確認してみると
Jリーグ 公式戦における「連勝・連敗」の定義
「連勝・連敗は引き分けを挟まない」とすること(2005年5月17日)となっています。

Jリーグの最多連勝および連敗の記録は以下の通り。

【最多連勝】
 J1 鹿島 16連勝 1998 2nd-5~1999 1st-3 
 J2 札幌 14連勝 2000 J2-9~23

【最多連敗】
 J1 京都 17連敗 1996-1~17 
 J2 甲府 19連敗 2000 J2-13~32 


【大分トリニータの戦績大分トリニータ−Wikipedia より)
大分トリニータリーグ戦連続無敗記録
13試合 9勝4分
(2008年6月29日J1第14節 ヴィッセル神戸戦 ~ 9月23日第26節 コンサドーレ札幌戦)

大分トリニータリーグ戦ホーム連続無敗記録
13試合 10勝3分
(2008年4月12日J1第6節 川崎フロンターレ戦 ~ 11月9日J1第31節 ジェフユナイテッド市原・千葉戦)

大分トリニータホーム最多連勝記録
6連勝 (2008年4月26日J1第8節 横浜F・マリノス戦 ~ 7月20日第18節 ジュビロ磐田戦)

大分トリニータリーグ戦最多連敗記録
14連敗 (2009年4月4日J1第4節 浦和レッズ戦 ~ 7月13日第13節 ジュビロ磐田戦)


大分トリニータがJ1に残留するためには。残り10試合を10連勝で勝ち点40とすることが条件です。正に崖っ縁に立たされた状況です。


2013年J1第24節vs清水エスパルス
J1第24節vs清水エスパルス











20130831◇J1第24節終了時点順位表
20130831J124節終了時点順位表






大分トリニータ公式サイト
大分トリニータ−Wikipedia
Jリーグ 公式戦における「連勝・連敗」の定義について  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 23:59オフタイム

2013年07月31日

イヌリンクリアランス(inulin clearance)について

イヌリンは、果糖が直鎖上に結合し、その末端にブドウ糖が付加された平均分子量3000~8000の多糖類です。普段よく食べているタマネギ、ゴボウなどといった多くの植物に存在します。「キクイモ」や「チコリ」には 特に多く含まれています。

【イヌリンの用途】
イヌリンを食品に入れた場合、例えばパンにほんの少量入れると、“きめが細かく”なり、
“モチモチ”した食感になるようです。クッキーに入れると“サクサク”します。
このように食品添加物として日本では使用されていました。

また、イヌリンが麹菌や酸によって加水分解して生成するフルクトース(果糖)は、糖尿病に優しい栄養・甘味料である事や、摂取したイヌリンは体内に吸収されず、腸の中で水溶性の食物繊維として働くという事で、最近はサプリメントとしても利用されています。

【腎機能検査薬としてのイヌリンの特性】
イヌリンは腎機能の指標である糸球体ろ過量(GFR)を測定する上で以下の様な理想的な特徴を有しており、イヌリンクリアランス(Cin)はGFR測定のgold standardとされています。

【特徴】
・血漿蛋白と結合しない
・糸球体基底膜を自由に透過する
・尿細管で再吸収・分泌されない
・生物学的活性がない
・体内で代謝されない(腸内のバクテリアで分解)

eGFRはあくまで簡易評価と考えるべきであり、
より正確な腎機能評価を要する場合は実測GFRが望ましいとされています。

【イヌリンクリアランス検査の実際】
1 腎疾患患者における腎機能の正確な評価
2 腎移植ドナーが腎臓を提供する前
3 腎排泄性薬剤の投与量設定
4 筋肉量の減少している患者又は少ない患者
  (老人、長期臥床、筋萎縮疾患等)
5 薬剤の腎機能に対する評価
6 血清Cr値の変動が大きな患者

腎機能の基本である糸球体濾過量(GFR)の国際標準測定法はイヌリンクリアランス測定
ですが、保険収載されたのはつい最近(2006年)のことです。

現在、日本の全ての医療機関で“eGFR推算式”は使用されるようになりましたが、
「日本腎臓学会プロジェクト日本人のGFR推算式」に参加した
71施設の真のGFR「イヌリンクリアランス」測定結果をもとに作成されました。
大分県からは唯一、当施設がプロジェクトに参加し、新しいeGFR推算式が完成される
歴史に関わっていました。

当院では、腎臓内科入院において常時
「イヌリンクリアランス(Cin)」測定可能な体制としています。
イヌリンクリアランスの詳細については、腎臓内科外来にてご確認下さい。


イヌリンクリアランスとは





















関連リンク
イヌリード注 富士薬品
日本腎臓学会  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 23:59腎臓内科に関する事

2013年06月30日

東九州メディカルバレー“日本における人工透析技術セミナー(大分県・宮崎県)”

日本政府は、透析医療の海外展開を計画しています。東九州メディカルバレー(大分県・宮崎県)事業の一環として、東南アジアの腎臓内科、透析医療に携わる 医師、政府関係者に対して透析医療機関の施設見学要請が当施設にあり受入れました。

大分県においては、日本政府指揮下で大分県庁(産業集積推進室新産業支援班)と大分大学医学部附属病院腎臓内科友雅司診療准教授(血液浄化センター副センター長)が、「人工透析技術セミナー」の中心的活動を担っています。今回、2013年5月27日~6月1日の間に政府開発援助ODA(Official Development Assistance)の実施機関の一つである外務省所管の独立行政法人国際協力機構JICA(Japan International Cooperation Agency)と協力し「人工透析技術セミナー」を開催し、2013年6月22日~6月26日の間に経済産業省所管の独立行政法人日本貿易振興機構JETRO(Japan External Trade Organization)と協力し「海外有識者招へい事業(タイ王国・透析分野)」を開催しました。

【外務省所管 JICA事業 参加国・対象機関】
参加国は、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、インド、
マレーシア、南アフリカの8カ国 (タイ、インド、南アフリカ;JICA事業調査先)。
参加者17名(各国保健省・大学・病院の幹部等)の来院でした。

【経済産業省所管 JETRO事業 JETRO機械・環境産業部】
受入機関
① 行政:大分県、宮崎県(東九州メディカルバレー構想特区)、延岡市
② 大学:大分大学、宮崎大学、九州保健福祉大学
③ 企業:旭化成メディカル㈱、川澄化学工業㈱、東郷メディキット㈱
④ 病院:松山医院大分腎臓内科
タイ王国の主要3大病院5名の腎臓専門医とタイ王国政府関係者の来院でした。


当院では、水処理システム、原水(精製地下水)から透析液作成過程、多人数用透析液供給装置/セントラル透析液供給システムCDDS(Central Dialysate Delivery System)、全自動透析装置(コンソール)、オンラインHDF(Hemodiafiltration)機器、全自動透析装置を使用するための認可要件となる透析水質基準等についての研修を行いました。

日本透析医学会では、オンライン補充液は、sterile&nonpyrogenicとされ、10^-6未満という細菌数は理論値であり、実際では検出不可能です。そのため国際標準化機構ISO(International Organization for Standardization)基準では、透析機器製造業者によってバリデートされた装置を用いることでのみ達成できるとしています。日本におけるCDDSを用いたオンラインHDFは、上流から下流まで全ての機器が同一製造者によって保証されているわけではないことから最終透析液製造者である各施設長(院長)に管理責任が委ねられています。

日本透析医学会基準では、透析装置および透析液水質管理のために厚生労働省によって定められた医療機器安全管理責任者の下に「透析機器安全管理委員会」を設置し、この委員会を透析液製造責任者として一元的管理を行うこととしています。

特にオンラインHDFは、この委員会によってバリデートされた条件においてのみ使用可能であり、委員会の承認ならびに保証の下で使用することを求めています。各施設の管理責任とした根拠は、日本は諸外国と異なり、国家資格である臨床工学技士が医師と協力して透析機器の管理を行っている現状を考慮したためです。

松山医院大分腎臓内科は、自然資源に恵まれた精製地下水をバリデートされた環境でセントラル透析液供給システムCDDS(Central Dialysate Delivery System)を構築し、透析液は、オンライン補充液に相当するsterile&nonpyrogenicとされる細菌数10^-6未満(測定感度未満)という理論値を前施設時代から維持しており毎日の患者さんのコンソールに供給しています。

各国の研修員は、CDDSシステムに強く関心を示し、「水質浄化システムや超純水透析液・オンライン補充液を自国の標準にしたい。日本の透析レベルを自国に導入したい。」という声などが聞かれました。しかし、研修各国には臨床工学技士のシステムが無く規制改正や臨床工学技士制度創設など検討課題も山積しています。今後、JICA事業等を活用し開発していく予定となっています。

大分県では、東九州メディカルバレー構想の推進にあたり医療機器産業の一層の集積や医療分野でのアジアへの貢献を目指した取組みを進めています。
透析医療においては、大分大学医学部附属病院腎臓内科友雅司診療准教授(血液浄化センター副センター長)を中心に東九州メディカルバレー構想特区が誇る高い技術力や産学官連携による人材育成の取組み、透析治療の全体像等を紹介するとともに、意見交換を今後も行っていきます。

20130529JICA来院「人工透析技術セミナー」












東九州メディカルバレー構想特区
東九州メディカルバレー構想
独立行政法人国際協力機構JICA(Japan International Cooperation Agency)
独立行政法人日本貿易振興機構JETRO(Japan External Trade Organization)
日本人工臓器学会「全自動透析装置と透析液清浄化」川西 秀樹
人工臓器 Vol.39 No.1(2010)  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 23:59医院について

2013年05月27日

あなたの1日塩分摂取量はどのくらいですか?

慢性腎臓病(CKD)をはじめとする生活習慣病の日常生活管理の中で食事療法は基本となります。CKDは、高血圧症を合併する患者さんも多く、また、管理不良の高血圧症はCKDの原疾患の一つとなる高血圧性腎硬化症の発症要因となります。
その他、CKDの原疾患となる糖尿病性腎症、IgA腎症などの慢性糸球体腎炎は、食事療法が大切でありCKDの全てのステージ(病期)において塩分制限6g/日未満を基本とします。

2013年世界保健デーのテーマは、「高血圧」でした。
世界保健デーは、世界保健機関 (World Health Organization: WHO) が設立された
1948年(昭和23年)4月7日を記念して設けられたものです。

WHOは2013年の世界保健デーの最終目標は心臓疾患や脳卒中を減らすことであるとし、以下を目的としたキャンペーンを行いました。
① 高血圧の原因と合併症について普及啓発を行う。
② 高血圧やそれに関連した合併症の予防についての情報を提供する。
③ 定期的な血圧測定の促進と、専門家のアドバイスを受けるよう奨励する。
④ 高血圧を予防するための自己管理を勧める。
⑤ 全ての人にとって血圧測定が手頃な価格で行えるようにする。
⑥ 人々が健康的な行動をとりやすい環境を整えるよう国や自治体に働きかける。

世界では成人の3人に1人が高血圧を発症しています。しかしながら、そのほとんどが気づかれない状態にあります。なぜなら、高血圧は発症したとしても、かならずしも症状が出るわけではないからです。症状に気づかず適切な治療を行わなかった結果、世界で毎年900万人以上の人々が亡くなっています。その半数が、心臓疾患や脳卒中で死亡しています。予防と適切な治療、それが高血圧によるリスクの低減につながります。また、人口が増えて寿命も延び、豊かになった新興国や途上国でも生活習慣病が増えており、死因の63%が生活習慣病だとも報告しています。(2013年世界保健デーwebsiteより改変)
http://www.who.int/kobe_centre/mediacentre/forum/whd-2013/ja/index.html
(キャンペーンの詳細・日本語)

そして2013年5月17日は「世界高血圧デー」でした。
毎年5月は高血圧啓発キャンペーン月間です。
「世界高血圧デー」については、院長ブログ
2012年5月17日号“ウデをまくろう、ニッポン!「世界高血圧デー/高血圧の日」”
また、高血圧症と関連する「塩」については、
2012年6月10日号“塩を減らそうプロジェクト”でとりあげており、
コチラもアクセスしてみて下さい。

本題の“1日塩分摂取量”については、平成22年の国民健康・栄養調査における
20歳以上の男性平均値は11.4g/日、女性は9.8g/日と報告しています。

厚生労働省が発行した「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、
国民レベルでの食塩摂取量の目標値(12歳以上)において、
男性は9.0g/日未満、女性は7.5g/日未満を算定しています。

一方、高血圧患者の減塩目標値について、日本高血圧学会による
高血圧治療ガイドライン(JSH2009)では6g/日未満と提唱しています。

日本高血圧学会「減塩委員会報告2012」において、高血圧症に対する生活習慣修正の中でも減塩が重要であること。減塩指導に際し、個人の食塩摂取量を評価することが不可欠であるとしています。食事塩分摂取量評価を行った上で、目標達成を目指した指導を行い、その効果判定を行うことではじめて実効的な減塩指導と言えると述べられています。

当院では、塩分摂取量を確認する上でのgold standardである
24時間蓄尿検査「ユリンメートP」による評価を実施しています。
蓄尿検査の実施が困難な患者さんに対しては、
spot尿(随時尿)を用いた推定1日塩分摂取量検査を実施しています。

ユリンメートP検査(24時間蓄尿検査)
24時間蓄尿量と24時間蓄尿中ナトリウム値を計算式に用いる
塩分摂取量(g/日)=尿中ナトリウム(mEq/L)×尿量(L)/17
[塩分1gはナトリウム17mmol(17mEq)に相当]

推定1日塩分摂取量検査(随時尿検査)
随時尿ナトリウム(Na)値・尿中クレアチニン(Cr)・身長・体重・年齢を計算に用いる
[田中の式]
24時間Na排泄量(mEq/日)
=21.98×[ 随時尿Na(mEq/L)/随時尿Cr(mg/dL)÷10×24時間尿Cr排泄量予測値(mg/日)]^0.392
24時間尿Cr排泄量予測値(mg/日)
=体重(kg)×14.89+身長(cm)×16.14-年齢×2.04-2244.45
Tanaka T, Okamura T, Miura K, et al.A simple method to estimate populational 24-h urinary sodium and potassium excretion using a casual urine specimen.J Hum Hypertens 2002 Feb 16(2):97-103.

腎疾患と尿蛋白(アルブミン尿)
減塩は尿蛋白あるいはアルブミン尿を減少させるという複数の報告があります。減塩による尿蛋白/アルブミン尿の改善効果は降圧を伴うことも報告されています。食塩の過剰摂取は腎糸球体のhyperfiltrationを惹起することが高血圧患者のみならず正常人にも示されており、減塩はhyperfiltration改善効果によって尿蛋白/アルブミン尿を抑制しているという機序が考えられます。
Krikken JA,Laverman GD,Navis G.Benefits of dietary sodium restriction in the management of chronic kidney disease. Current Opinion in Nephrology & Hypertension.18:531-538,2009

Vogt L,Waanders F,Boomsma F,et al.Effects of Dietary Sodium and Hydrochlorothiazide on the Antiproteinuric Efficacy of Losartan.J Am Soc Nephrol.19:999-1007,2008

一方、ACE阻害薬治療中の非糖尿病性慢性腎臓病患者を対象にした観察研究では、食塩摂取量の増加に伴い尿蛋白/クレアチニン(P/C比)が増加し、かつ、末期腎臓病の発症が増加することが報告されています。
Vegter S, Perna A, Postma MJ, et al.Sodium intake, ACE inhibition, and progression to ESRD. J Am Soc Nephrol. 2012 Jan;23(1):165-73.

減塩に関する世界の動きでは、2003年に発表された世界保健機関/食糧農業機関(WHO/FAO)の食事、栄養と慢性疾患のレポートでは、血圧低下のためには食塩摂取量を5g未満にすべきとしています。2007年の欧州高血圧学会-欧州心臓病学会(ESH-ESC)は、食塩3.8g/日が理想とし、現実的な目標値として食塩5g/日未満を設定しています。
日本人の食塩摂取量は国際的にみると高く、治療目標値も高めの設定となります。

高血圧治療の実際は、検診や医療機関で患者面談時に医師、保健師、管理栄養士、看護師によって、日常の食生活の中でまず塩分摂取量を6g/日未満を目標とする指導が基本です。
当院では管理栄養士による個別専門指導を行っています。
食習慣/食塩摂取量の現状の調査を行い、食習慣における問題点を明確にし詳細指導を実施します。また、塩分摂取量6g/日未満が実行できているかの客観的評価(ユリンメートPによる蓄尿検査あるいは随時尿による推定1日塩分摂取量検査)を行い、これらの指導や評価を降圧薬内服に加えて実施することでより効果的な降圧が得られるように目指します。

降圧薬を服用中の患者さんは、外来で1日塩分摂取量を確認してみましょう!

 関連サイト
 推定食塩摂取量計算アプリ
 開発: MSD株式会社
推定食塩摂取量計算アプリ
  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 23:58医院について

2013年04月04日

私たちは腎臓の元気を守ります!!病診連携システム協力医療機関

大分市慢性腎臓病(CKD)病診連携システムがはじまります。

“院長ブログ2013年2月28日号”にて
皆さんにご紹介しました「大分市慢性腎臓病病診連携システム」が起動します。

大分市ホームページでは、普及啓発を目的に2013年4月3日より市民の皆さんと医療機関に向けた「大分市慢性腎臓病病診連携システム」専用ページを作成し公開しています。


【大分市慢性腎臓病病診連携システム】
からだの中の老廃物を尿として排泄し、血液をきれいに保ってくれる大事な「腎臓」。
この機能がさまざまな理由で低下する「CKD(慢性腎臓病)」が問題になっています。
自覚症状がないままに進行し、その機能が失われてしまうと、腎不全で死に至る危険もあります。

CKDの重症化予防のためには、一人の患者さんに対して、必要に応じて“かかりつけ医(病診連携医)”と“腎臓専門医”とが併診(診療連携)を行うことが効果的です。この併診を行う、「大分市慢性腎臓病病診連携システム」が2013年4月からスタートします。


【病診連携の内容】
より良いCKD診療のため、かかりつけ医と腎専門医が併診(診療連携)して患者さんの治療を継続するものです。

1 健診の結果で、腎機能が受診勧奨レベルとなった方は、
  かかりつけ医(病診連携医)を受診し相談します。


2 かかりつけ医は、診察の結果、患者さんの腎機能が紹介基準にある場合、
  腎専門医へ紹介します。
 
  ◎紹介シート使用(医療機関用)
   クリックで拡大表示します。











3 腎専門医は、必要な検査等をおこない、正確な腎機能を把握し、病気の診断
  及び治療方針の決定を行います。その情報をかかりつけ医へ提供します。

  ◎返信シート使用(医療機関用)
   クリックで拡大表示します。











4 かりつけ医は、腎専門医からの指示を受け、CKD診療を継続します。

5 その後も腎専門医とかかりつけ医は連携して患者さんにより良い治療を行いま
  す。必要に応じて腎専門医に再紹介し、腎機能の判定や治療方針の変更を行い
  ます。

  ◎CKD手帳の活用



【連携システム概要】
 クリックで拡大表示します。







【紹介基準】
 クリックで拡大表示します。







【保健所への連絡票】
 クリックで拡大表示します。












「腎専門医」および「病診連携医」の各医療機関は下記のステッカーが目印です。























松山医院大分腎臓内科は、慢性腎臓病(CKD)病診連携システム協力医療機関です。





関連情報[大分市ホームページにリンク]
大分市慢性腎臓病(CKD)病診連携システム協力医療機関を紹介します
慢性腎臓病(CKD)って何だろう?あなたの腎臓大丈夫?

医療機関用ダウンロードファイル[大分市作成]
紹介基準・専門医への紹介基準 (Microsoft Excel:37KB)
紹介シート (Microsoft Excel:43KB)
保健所への連絡票 (Microsoft Excel:28KB)
返信シート (Microsoft Excel:33KB)
連携システム概要 (Microsoft Excel:58KB)
  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 13:33腎臓内科に関する事

2013年04月01日

透析患者における高血圧治療とドライウェイト管理

透析患者の血圧管理については、日本透析医学会より「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」1)が、2011年に公開されています。本ガイドラインでは「ドライウェイト(DW)の定義」も触れています。患者さんにも適正ドライウェイト(DW)管理が最も重要であることを理解して頂きたく、本ガイドラインの高血圧管理の項目をドライウェイト(DW)の定義も含めて一部抜粋しました。疑問点は院長回診で確認下さい。

透析患者の高血圧病態
透析患者における高血圧の成因には、
体液量(細胞外液量)過剰
② renin-angiotensin system 系の異常(容量負荷に対する不適切なアンジオテンシンIIの
  反応性)
③ 交感神経活性の亢進
④ 内皮依存性血管拡張の障害
⑤ 尿毒素
⑥ 遺伝因子
⑦ エリスロポエチン、などの関与が指摘されている。
特に体液量過剰は主要因であり、その是正により60%以上の患者で血圧を正常化できる
ことが報告されている。2),3)

透析患者における降圧治療の原則はドライウェイト(DW)の適正化が最も重要で、その達成と維持によっても降圧が不十分な場合に降圧薬投与が有効となる。

【血圧管理についてのステートメント】
1 透析患者における血圧は、透析室における血圧のみならず家庭血圧を含めて評価すべ
  きである(1B)。
2 心機能低下がない、安定した慢性維持透析患者における降圧目標値は、週初めの透析
  前血圧で140/90mmHg未満とする(オピニオン)。
3 目標血圧の達成にはドライウェイト(DW)の適正な設定が最も重要である(1B)。
4 DWの達成/維持後も降圧が不十分な場合に降圧薬を投与する(1B)。

【適正なドライウェイト(DW)設定のための指針】
DWの定義
DWとは「体液量が適正で透析中に過度の血圧低下を生ずることなく、かつ長期的にも心血管系への負担が少ない体重」と定義する。臨床的に設定する方法は明らかではない。
また、臨床的に、体液量過剰状態が明らかでなくても、透析患者では常に体液量は過剰である(silent overhydration)4)
Scribnerは、DWが適正に維持されれば透析患者には降圧薬は不要であると指摘した5)
しかし、高齢者や導入前にすでに動脈硬化性病変が高度な患者ではDWを厳格に設定することは困難なことが多い。
一般的に採用されているDW設定の指標としては、透析中の著明な血圧低下がない、透析終了時血圧は開始時血圧より高くなっていない6)、末梢に浮腫がない、 胸部X線で胸水や肺うっ血がなく、心胸郭比50%以下(女性では53%以下)などがあげられる。

体液量の評価
透析患者の体液量を理学的に評価する場合、浮腫の存在と高血圧は体液量過剰の最も鋭敏な指標である。
理学的所見のほかに繁用される指標として心胸郭比(CardioThoracic Ratio:CTR)がある。CTRには体液量の変動以外に、貧血、腹水、肥満、心肥大、弁膜症・心筋梗塞・心房細動などの心障害、シャントの過剰発達、心囊液貯留などが影響することに注意しなければならない。また、透析前後、体重の増減によって変化するので、DW設定を目的としたCTR測定のための胸部X線は、体重が最も増加している週初めの透析前に行うべきである。
ただし、目的に応じて適宜撮影される。CTRは、胸部X線で最大胸郭径と最大心横径の比率を用いる。
心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)を体液量の評価として用いることがあり、保険でも月に1回の測定が認められている。しかし、その基準は報告によりさまざまで、DW達成時には50〜100pg/mL以下である7)。しかしながら、器質的な心疾患では高値を示し、hANPはDWの指標とはならない。

DW達成までの期間
透析中の血圧低下を回避しながら除水して降圧されていくのを観察することになる。降圧が目標値に到達する、すなわち、体液量の是正のみで目標血圧値となる時の体重(DW)を達成するまでには、通常、4〜12週間が必要で、症例によっては、6〜12ヵ月を要することもあり、慎重に経過を観察することが重要である8)。DW達成と降圧効果の出現との間には時間差があるためと考えられ、ADMA(Asymmetric DiMethyl Arginine:一酸化窒素合成酵素の内因性阻害物質)やDLIS(Digoxin-Like Immuno reactive Substance:ジギタリス様免疫反応物質)などの関与が推定されている9)DWを変更する際は、透析ごとに0.3〜0.5kg程度毎に徐々に変更していき、週後半でDWに達するように緩徐に行うべきである。
ADMA(Asymmetric DiMethyl Arginine:一酸化窒素合成酵素の内因性阻害物質):ADMAは血管内皮機能の制御における最も重要な役割を果たすNOS(Nitric Oxide Synthase:一酸化窒素合成酵素で血管拡張作用、血小板凝集抑制作用をもつ)に対する内因性阻害物質。末期腎臓病患者において血中ADMAが増加しており、血中ADMA濃度は血管内皮機能低下と相関するのみならず、血管合併症や生命予後の独立した危険因子といわれている。
DLIS(Digoxin-Like Immuno reactive Substance:ジギタリス様免疫反応物質):透析患者でDLISが検出されやすいという報告や高血圧患者でDLISが高値になるという報告がある。


体重増加について
腎機能が廃絶し無尿・乏尿の透析患者では透析間に体重が増加する。その増加量は食塩摂取量と尿量に依存する。血清Na濃度140mEq/Lは食塩水に換算すると 8.2g/Lに相当するので、無尿の患者では8.2gの食塩が体内に蓄積すると、透析患者でも浸透圧上昇に伴う口渇中枢の刺激と抗利尿ホルモンの分泌系は保たれていると仮定すると、浸透圧を等張にすべく1 Lの水を飲水し、理論的には1kg の体重増加が生じる。実際には汗と便を合わせて1日1gの食塩が排泄されるため、週末の透析後、1日15gの食塩摂取で体内には14gが蓄積し1.7kgの体重増加となる。口渇によらない飲水行動にも留意する必要がある。その原因としては、高血糖、お粥の摂取、点滴、お茶などである。透析間体重増加量をどの程度にすべきかに関してはいくつかの報告がある。
USRDS(The United States Renal Data System:米国腎臓データシステム)では、
4.8%(体重70kgで3.4kg)以上の体重増加は予後不良であると報告している10)

透析間体重増加量は、週末でも1.5〜2.0kgにすべきことが推奨されている11)
K/DOQI(The National Kidney Foundation Kidney Disease Outcomes Quality Initiative:米国腎臓財団提唱腎臓病予後改善対策)では1日食塩摂取量は5g以下を推奨している12)。1日5gの食塩摂取では体重70kgの人で最大透析間体重増加が1.5kgになる13)日本高血圧学会では高血圧治療として6gの1日食塩摂取量を推奨している14)
しかしながら、塩分制限が強いあまりに、食欲低下から低栄養状態になることを避ける必要がある。


降圧薬の選択
適切なDWを設定し、それが達成されても降圧が得られない場合に降圧薬投与を考慮する。透析患者における降圧薬選択についてのエビデンスは乏しいが、非透析例で得られた成績を参考にして適用することになる。血圧の評価は1週間単位で、家庭血圧も参考にし、降圧薬を透析日は投与しないなど画一的な指導に終わらず工夫し、1週間にわたって血圧管理が良好に行われることをめざす。降圧薬の選択にあたっては、心肥大抑制など臓器保護効果があることを優先する。作用時間の長短を組み合わせる、透析性と血圧変動を考慮して服薬時間を決定する、透析後に服薬する場合には帰宅後、家庭において降圧が過度に陥る危険性があることに注意する、など留意すべきである。また、降圧が不十分な場合、患者が服薬していない可能性も考慮しなければならない。
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)やアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)などのレニン・アンジオテンシン阻害薬は左室肥大抑制効果など心血管系保護効果が明らかで透析患者についても第一選択薬となる降圧薬である。とくに、ARBは胆汁排泄が主体で、透析性もなく、咳嗽などの副作用もないので投与しやすい。
β遮断薬は、心筋梗塞の既往例や有意な冠動脈疾患を有する例で積極的な適応となる。
DOPPS(Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study:血液透析患者さんの治療方法と予後について調べている国際的調査)研究では、β遮断薬使用群の生存率が最も良好であったと報告されている。カルシウム拮抗薬の投与も奨められる。いくつかの前向き観察研究で、全死亡や心血管障害死亡を有意に減少させた。透析患者では交感神経活性の亢進も存在し、以上の降圧薬で管理できない場合に中枢性交感神経作動薬やα遮断薬も考慮する。しかし、起立性低血圧など、副作用も多いことから2次的選択薬となる。

高血圧治療の実際
透析患者における高血圧治療の実際を【図1】のようなアルゴリズムで示す。高血圧治療には必要量の透析が確保されていること(適正透析)が前提条件で、透析時間、回数、血液流量、透析膜などの透析条件を再考すべきである。その上でDWの適切な設定・達成・維持をめざすべきである。それでも降圧が得られない場合に降圧薬を投与することになる。
逆に、透析中に高度の血圧低下が発生し、降圧薬の影響が考えられる場合には、降圧薬の減量・中止を考慮し、DWを再度設定し直して経過観察した後に適切な降圧薬を選択すべきである。

体液量の管理
透析患者の高血圧治療の基本的治療は体液量過剰の是正することで、減塩を基礎として透析間の体重増加を抑制した上で適切なDW設定を行う。日本透析医学会の統計調査委員会によれば、透析間の体重増加量が体重の2%以下と6%以上で予後が不良であった15)。USRDSでも4.8%以上の体重増加では予後不良であると報告している8)。透析間の体重増加を抑制することは透析中の血圧低下を防ぐためにも有効に作用し、中1日でDWの3%、中2日では5%を限度とすべきである。一方、透析中の血圧低下を防止するためにDWを安易に上げることは避けるべきである。

【図1】高血圧治療のアルゴリズム
[日本透析医学会:透析会誌2011;44:337-425より]
クリックで拡大表示します







【透析患者の高血圧治療のポイント】16)改変
1 心機能の明らかな低下がないかの確認。ないことが前提で週初めの透析開始時で
  140/90mmHg未満を目標とする。透析後はこの値より下がっている必要があるが、
  透析中に急な血圧低下がないことが重要である。
2 ドライウェイト(DW)を適正に維持する。明らかな胸水やうっ血がないことが重要であ
  り、徐々に除水する。心胸郭比(CTR)50%未満を目標とするが、迷う場合は、hANPな
  どを併用して決定する。
3 ドライウェイト(DW)を適正に設定してもなお血圧高値を認める場合は、RAS阻害薬を
  開始しそれでも適正血圧に維持困難な場合はカルシウム拮抗薬やβ遮断薬を追加する。
4 決定や変更の際には立位血圧値を確認することが望ましい。特に糖尿病性自律神経障
  害がある患者の場合は、慎重に降圧管理を行う必要がある。


1)「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」透析会誌44(5):337-425, 2011
2)Zucchelli P, Santoro A, Zuccala A:Genesis and control of hypertension in hemodialysis patients. Semin Nephrol 8:163-168, 1988
3)Agarwal R, Alborzi P, Satyan S, Light RP:Dry weight reduction in hypertensive patients(DRIP). A randomized, controlled trial. Hypertension 53:500-507, 2009
4)Dorhout Mees EJ, Ozbash C, Akcicek F:Cardiovas- cular disturbances in hemodialysis patients:The importance of volume overload. J Nephrol 8:71-78, 1995
5)Scribner BH:Can antihypertensive medications control BP in haemodialysis patients:yes or no? Nephrol Dial Transplant 14:2599-2601,1999
6) Inrig JK, Oddone EZ, Hasselblad V, Gillespie B, Patel UD, Reddan D, Toto R, Himmelfarb J, Winchester JF, Stivelman J, Lindsay RM, Szczech LA:Association of intradialytic blood pressure changes with hospitalization and mortality rates in prevalent ESRD patients. Kidney Int 71:454-461, 2007
7)赤井洋一,草野英二,古谷裕章,大野修一,江幡 理, 手塚俊文,安藤康宏,鈴木宗弥,田部井薫,浅野 泰: 透析患者の ANP は体液貯留の指標となりうるか? 透析会誌 24:1143-1148,1991
8)Chazot C, Charra B, Vo Van C, Jean G, Vanel T, Calemard E, Terrat JC, Ruffet M, Laurent G:The Janus-faced aspect of dry weight; Nephrol Dial Transplant 14:121-124, 1999
9)Khosla UM, Johnson RJ:Editorial:Hypertension in the hemodialysis patient and the Lag Phenomenon :Insights into pathophysiology and clinical management. Am J Kidney Dis 43:739-751, 2004
10)Foley RN, Herzog CA, Collins AJ;United States Renal Data System:Blood pressure and longterm mortality in United States hemodialysis patients:USRDS Waves 3 and 4 Study. Kidney Int 62:1784-1790, 2002
11)Campese VM, Tanasescu A:Hypertension in dialysis patients.In Principles and Practice of Dialysis(sed3). ed Henrich WL, Philadelphia, PA, Lippincott Williams & Wilkins, pp227-256, 2004
12)K/DOQI Workgroup:K/DOQI clinical practice guidelines for cardiovascular disease in dialysis patients. Am J Kidney Dis 45(4 Suppl 3):S1-153, 2005
13)Shaldon S:What clinical insights from the early days of dialysis are being overlooked today? Semin Dial 18:18-19, 2005
14)高血圧治療ガイドライン 2009(JSH2009).日本高血 圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編集.ライフサイエンス出版,東京,2009
15)新里高弘,佐中 孜,菊池健次郎,北岡建樹,篠田俊 雄,山﨑親雄,坂井瑠実,大森浩之,守田 治,井関 邦敏,秋葉 隆,中井 滋,久保和雄,田部井薫,政 金生人,伏見清秀:わが国の慢性透析療法の現況(1999 年 12 月 31 日現在).透析会誌 34:1-33,2001
16)CKD・透析関連領域におけるガイドラインを日常診療にどう生かすか 臨床透析2012Vol.28 No7
  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 00:00腎臓内科に関する事

2013年02月28日

大分市慢性腎臓病病診連携システム

大分市は、国保加入者の人工透析患者の割合が高いことから、その原因となる慢性腎臓病対策として、大分市慢性腎臓病病診連携システム検討委員会を開催し、大分市版の紹介基準や紹介様式を作成しました。

当院は、2011年より大分市生活習慣病対策推進協議会の委員として活動し、
2012年より大分市慢性腎臓病病診連携システム腎臓専門医の委員の一員として今回の紹介様式の作成に取組んできました。

そして、行政(大分市)と大分市連合医師会が、本格的にシステムを円滑に起動させていくために医師会会員(かかりつけ医)を対象に「2012CKD診療ガイドライン」に基づいた基礎知識および大分市慢性腎臓病病診連携システム運営についての「CKD病診連携システム研修会」を各医師会(大分市・大分東・大分郡市)において実施しました。
大分郡市医師会は、2013年2月19日(火)に大分市稙田公民館大研修室において研修会が開催されました。当院は、所属する大分郡市医師会長の半澤一邦先生の命を受け、研修会の中で「CKDについて」の講義を担当しました。


大分市慢性腎臓病病診連携システムの概要

1 目的  
大分市は人工透析患者の割合が高い水準にあることから、医師会や腎臓専門医の在籍する医療機関と協議しCKDの発症予防や悪化防止のための総合的な取り組みを行い、年間の新規人工透析患者の減少を目指す。


2 腎専門医と病診連携とは
腎専門医 公的病院または準公的病院(医師会立病院)に在籍する腎臓内科医師
     日本腎臓学会の認定する腎臓専門医師
     大分市慢性腎臓病病診連携システム検討委員会で承認された医師

病診連携医(かかりつけ医) 
大分市慢性腎臓病病診連携システムに協力いただける、かかりつけ医師


3 紹介基準
腎専門医紹介基準【「2012CKD診療ガイドライン」に基づき作成】
年齢別eGFRによる紹介基準       eGFR値(単位:ml/min/1.73㎡)
    ①40歳未満          60未満
    ②40歳以上70歳未満     50未満 
    ③70歳以上          40未満
    ④3ヶ月以内に30%以上のeGFR値の低下

蛋白尿による紹介基準
    ⑤尿蛋白2+以上
    ⑥蛋白尿と血尿がともに陽性(1+以上)

「2012CKD診療ガイドライン」腎臓専門医への紹介基準 
  クリックで拡大表示されます







4 各種シート
    ①紹介シート
    ②保健所への連絡表
    ③返信シート
    ④CKD手帳(大分市で作成中)


5 大分市CKD病診連携システムの流れ(平成25年4月〜開始予定)
  クリックで拡大表示されます






6 連携の内容
    ①市民検診を受けた方で受診勧奨レベルの方に病診連携医を紹介
    ②病診連携医は、「紹介シート」により腎専門医に紹介
    ③病診連携医は、紹介情報を大分市保健所にFAXで送信
    ④腎専門医は、「返信シート」により病診連携医に返信
    ⑤「CKD手帳」のコメント欄を用いて、病診連携医、腎専門医で情報共有
    ※「紹介シート」、「返信シート」は、診療情報提供書として使用できます


7 今後の予定
・病診連携医の募集(2013年2月〜現在募集中)
・市報、ホームページに医療機関を掲載(2013年4月予定)
・「紹介シート」、「返信シート」連絡票は、ホームページからダウンロードできます
・「CKD病診連携ステッカー」を配布します

〈お問い合わせ〉
〒 870−8506 大分市荷揚町6番1号
大分市保健所 健康課 健康づくり推進担当班
TEL 536-2516 FAX 532-3250



TIPS
認定特定非営利活動法人 腎臓病早期発見推進機構
(IKEAJ:International Kidney Evaluation Association Japan)
当院は、地域になにか貢献できることはないかと模索しているなか、
「腎臓病早期発見推進機構(IKEAJ)」の活動に出会いました。
このNPO法人の腎臓病に関する知識と情報をみなさんと共有し、
腎臓病のリスクを減らしたいという考え方に共鳴し、
無料検診日を設け、地域のみなさまに来院していただけたらと思っております。

検診の対象は、高血圧または糖尿病で通院されており未だ腎障害の指摘を受けていない
患者さん、もしくは腎臓病の家族歴を有する方、そしてこの検診を希望する市民の方々
としています。当院は、九州ブロック代表としてパイロットスタディを実施中です。
詳細については、当院ホームページ(腎臓病早期発見検査のご案内)を参照下さい。

今回、IKEAJと当院で“IKEAJ-KEEP in OITA”のパンフレットを作成しました。
  クリックで拡大表示されます










また、IKEAJは、「CKD早期発見プログラム」についてより広く多くの方々へ
理解して頂くために早期発見啓発DVDを作成しています。
YouTubeで確認できます。


そして、毎年3月第2木曜日は、「世界腎臓デー」です!








「世界腎臓デー」のロゴも世界共通公式ロゴマークとして作られました。
2個の腎臓と3色の棒から構成されます。
「私たちの腎臓が、濾過(赤)浄化(青)除去(黄色)している
      血液(赤)余分な水分(青)尿(黄色)を表しています。」

当院では、2007年より3月第2木曜日の「世界腎臓デー」には、
院内コミッティルームにおいて医師・看護師・管理栄養士による
市民公開講座を毎年実施してきました。今回で7年目(7回目)となります
2013年3月14日木曜日も「世界腎臓デー市民公開講座」を実施致します。
参加ご希望の市民の方々は、当院までお問い合わせ下さい。  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 23:32腎臓内科に関する事

2013年01月27日

校医の健康だより“子どものメタボリック症候群が増えている”

当院は、隣接する我が母校「大分市立東稙田小学校」の学校医です。
2011年から同小学校PTA新聞の連載シリーズ「校医の健康だより」を担当しています。
今回は、2013年3月発行号に向けて作成した内容をversion改変して綴ります。

最近、肥満傾向の小児が増えています。文部科学省学校保健統計調査書によると、
肥満児は、30年前と比べ約2倍に増え、約10人に1人となっています。
「メタボリック症候群」対策は、成人だけの問題ではありません。小児肥満の約70%が、成人肥満に移行するとされ、また高度の小児肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を合併する可能性も高くなるため、小児期からの肥満予防が重要であると言われるようになりました。

厚生労働省より「小児期メタボリック症候群」の診断基準が、作成されています。
6歳から15歳を対象とした診断基準では、
必須項目
・腹囲 中学生 80cm 以上、小学生 75cm 以上
    腹囲(cm)÷ 身長(cm)値 0.5 以上
選択項目(以下のうち2項目以上)
・脂質 中性脂肪 120mg/dl 以上
・血圧 収縮期血圧 125mmHg 以上 かつ/または 拡張期血庄 70mmHg 以上
・血糖 空腹時血糖 100mg/dl 以上

一方、成人の診断基準は、
必須項目
・腹囲 男性 85cm 以上、女性 90 cm 以上
選択項目(以下のうち2項目以上)
・脂質 中性脂肪 150mg/dl 以上、もしくは HDL-C 40mg/dl 未満
・血圧 収縮期血圧 130mmHg 以上 かつ/または 拡張期血庄 85mmHg 以上
・血糖 空腹時血糖 110mg/dl 以上

小児期メタボリック症候群を防ぐには、生活習慣の改善が大事です。
朝食を欠食し、夕食時間、睡眠時間も遅くなることが、小児期メタボリック症候群を促進させる要因であることも示されています。
また、スナック菓子などが、コンビニなどで気軽に手に入ることも問題です。
さらに、部屋にこもってゲームなどの室内遊びの生活は、外に出て体を使った運動をしている小児に比べて肥満になりやすいという調査結果があります。

そして2型糖尿病は、遺伝的な体質に、運動不足や食べ過ぎによる肥満やストレスなどが重なり発症します。小児の2型糖尿病の存在が顕在化したのは1990年代に学校検診の検尿で尿糖検査が取り入れられてからのことです。(学校検尿は、小児腎臓病の早期発見を目的に血尿・蛋白尿の項目で1974年に開始されましたが、1992年に小児糖尿病の早期発見を目的として法律が改正され、尿糖検査も義務付けられました。)

日本小児内分泌学会による2003年全国調査で2型糖尿病の診断時における肥満度を調べたところ、肥満度20%以上は男子で78%、女子で63%と報告されており、肥満が2型糖尿病の重要な危険因子であることを裏付けるともに、小児メタボリック症候群への対応の重要性を示唆しています。

しかし、尿糖陽性だからといって糖尿病の確定診断にはなりません。「腎性糖尿」という血糖値が高くないのに尿に糖が出る病態があります。「腎性糖尿」と診断された場合は、糖尿病の治療は不要です。ただし、家族歴に糖尿病の方がいる場合は、経過観察とします。
また、感染症にかかった時に一時的に血糖値が高くなり、尿に糖が出ることもあります。小児に限らず、成人においても、糖尿病でない尿糖陽性の診断には、腎臓機能障害の有無も含めた精密検査を受けることをお勧めします。

小児期メタボリック症候群の診断基準をもとに、家庭においても、子供や自分自身の腹囲を測定してみましょう。子供の未来を考え、また自身の健康管理を行い、メタボリック症候群の早期発見と毎日の生活習慣の改善を実践していきましょう。


関連リンク
メタボリックシンドローム・ネット“小児肥満と小児メタボ”
小児肥満対策推進委員会 平成23年度「子供の食生活実態調査アンケート」調査結果
厚生労働省 メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイト
“子どものメタボリックシンドロームが増えている”
母子保健情報 第56号(2007年11月)“子どものメタボリックシンドロームと食育”
浜松医科大学小児科学教授 大関武彦
知っ得?納得!!メタボリックシンドローム
“子どもにも広がるメタボリックシンドローム”
院長ブログ 2012年4月5日号“「学校検尿」は何のために行われるの?”
母子保健情報 第60号(2009年11月) “思春期における生活習慣病” 東京女子医科大学東医療センター小児科教授 杉原茂孝
社団法人日本腎臓学会“腎臓病とは-おしっこ大事典”
大分市立東稙田小学校 1877年創設  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 10:57医院について

2012年12月30日

「ノロウイルス」とは? 感染性胃腸炎の感染防止指針

「ノロウイルス」による感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していますが、特にこの季節(冬季)に流行します。「ノロウイルス」は手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、嘔吐、下痢、腹痛などを起こします。免疫力(抵抗力)のある基礎疾患の無い健康な方は軽症で回復しますが、幼児や基礎疾患のある老人では、重症化したり、吐物を誤って気道に詰まらせて死に至ることもあります。「ノロウイルス」対策は、ワクチンや、また、特別な治療法もないため、輸液などの対症療法に限られます。

ウイルスは、電子顕微鏡下で球形をしていたことから「小型球形ウイルス」の一種と考えられていました。非細菌性急性胃腸炎の患者から「ノーウォークウイルス」に似た小型球形ウイルスが発見され、一時的に「ノーウォークウイルス(1968年にオハイオ州ノーウォーク町の小学校で集団発生した急性胃腸炎)」、これらを総称して「小型球形ウイルス」と呼称されていました。
「ノロウイルス」と正式に命名されたのは、2002年8月の国際ウイルス学会です。

「ノロウイルス」の検査については、これまで保険適応がありませんでした。
2012年4月1日の診療報酬改訂後、新たに保険適用開始となりました。
適用項目は、ノロウイルス抗原定性(迅速検査:ノロウイルス抗原キット)
検査留意事項があります。
ノロウイルス抗原定性は、以下(ア〜オ)のいずれかに該当する患者について、
当該ウイルス感染症疑われる場合に算定する。
ア 3歳未満の患者

イ 65歳以上の患者

ウ 悪性腫瘍の診断が確定している患者

エ 臓器移植後の患者
オ 抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、又は免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者

「ノロウイルス」は、「インフルエンザウィルス」にある様な特効薬はなく、対症療法となりますが、少量のウイルス量でも感染し(ごくわずかな糞便や嘔吐物が付着した食品で感染し発症させる)、高齢者や乳幼児では重症化することもあり、同居家族内感染、学校集団感染、医療機関での感染対策が重要となります。また、老人施設、給食関連施設等においても管理上の問題が発生します。
これらの点からも「ノロウイルス」感染症の可能性の有無を確定する検査を実施する意義があります。

国立国際医療研究センター研究所感染制御研究所は2012年12月25日、
「ノロウイルスなどの感染性胃腸炎による院内感染対策防止手順資料集」を作成し、
国立国際医療研究センターのホームページに掲載しています。

厚生労働科学研究「新型インフルエンザ等の院内感染制御に関する研究」(平成 22年〜24年度)では、全国の院内感染対策の実務担当者が集まって実際にそれぞれの医療現場で使用している感染対策活動に利用している様々な資料を持ち寄り、メリハリのある院内感染に関する検討を重ねてきました。この資料はその成果「院内感染防止手順」第3版の感染性胃腸炎・食中毒の章を抜粋したものです。

感染性胃腸炎や食中毒の発生時や集団発生時の対応フローチャート、患者への対応、一般病棟での対応、手指消毒の方法、防護用具、予防対策、消毒液の作り方に加え、
ノロウイルスに特化した感染対策フローチャートや2次感染防止策を掲載しています。

一般の方には、厚生労働省のサイト内にある「ノロウイルスに関するQ&A」
“ノロウイルス食中毒の予防”、“感染を広げないために”を一読することをお勧めします。
日常生活から感染対策をシッカリ行い、ウイルス感染症の流行を未然に防ぎましょう。


【関連リンク】
ノロウイルスなどの感染性胃腸炎による院内感染対策防止手順資料集
(国立国際医療研究センター研究所 感染制御研究所 切替 照雄)
ノロウイルスに関するQ&A(厚生労働省)
ノロウイルスによる食中毒や感染に注意 
~感染性胃腸炎は過去10年間で2番目に多い水準~
2012年11月27日(厚生労働省)  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 13:31医院について

2012年11月24日

日本人工臓器学会(代謝系)最優秀論文賞受賞

2011年に“Journal of Artificial Organs”に私が筆頭者として投稿した
“Acetate-free blood purification can impact improved nutritional status in hemodialysis patients”Kazuhiro Matsuyama, Tadashi Tomo & Jun-ichi Kadota(邦題:アセテートフリー血液浄化法は、血液透析患者の栄養状態改善に影響を及ぼす可能性がある)が、第50回日本人工臓器学会大会(2012年11月22-24日)にて、平成24年度(代謝系)最優秀論文賞に選出され同学会で2012年11月23日に受賞講演を行いました。

本研究は、2007年に現施設に移転(原水から透析液作成過程までの全システム一新)後、
師匠である大分大学医学部腎臓内科友雅司診療准教授と供に行いました。
現在の「松山医院大分腎臓内科」として最初に実施した臨床研究を論文にしたものです。

選考委員会より“本論文は慢性維持透析における新しい透析液として注目をあつめている acetate free dialysate(AFD)の臨床的有用性を血液マーカーの変動で証明した唯一の論文である。AFD の有用性はこれまで in vitro や理論上では示されていたが、臨床研究で明確に示された論文は存在しなかった。本論文は、Leptin や neuropeptide Y のような栄養マーカーの変化から栄養に対する AFD の有用性を、また炎症反応サイトカインである IL6 血中濃度の変化と CRP の変化から AFD の抗炎症作用について立証した貴重な臨床研究論文と考える。症例数や観察期間が不十分との指摘があったものの、本テーマにおける臨床研究の困難さや新規性を考慮すると、本論文賞論文に十分値すると判断した。”との選考理由を頂きました。

第50回記念大会となる歴史ある日本人工臓器学会大会において、名誉ある賞を頂き、喜びと同時に責任の重さを感じています。

私たち「大分大学医学部総合内科学第二講座腎臓班(友雅司診療准教授)」は、「オンラインHDFは、病態とは無関係に“将来の合併症予防、有効なQOLの長期的維持を目的とする症例”に適用すべきである。」論じてきました。そして透析膜や本論文のテーマとなった透析液の生体適合性についての研究を続けています。本学会において、私たちの取組みが、間違っていなかったことを証明することができました。

慢性腎臓病対策と透析医療は日進月歩であり、関連する各分野において今日も新たな研究がなされています。日本は、透析医療の世界最先進国と言われていますが、合併症対策は不十分です。私たち腎臓専門医、透析専門医は、慢性腎臓病患者さんの合併症抑制、生命予後改善を目的とした、さらなるQOL向上を目指した全身管理を追求していかなければなりません。


追記
2012年11月23日には、大分県民にとって素晴らしい出来事がありました。
私たち大分県民の願いである「大分トリニータ」のディビジョン1(J1)復帰が確定しました。「院長ブログ」でもこの日を願い、応援ブログ“「三位一体」「大分トリニータ」めざせディビジョン1(J1)”を投稿していました。J1では、さらなる厳しい戦いが続くことになります。息つく余裕はありません。Jリーグチャンピオンを目指して「三位一体」を一層強固なものにしていかなければなりません。


関連リンク
日本人工臓器学会  
Acetate-free blood purification can impact improved nutritional status in hemodialysis patients  Journal of Artificial Organs (2011)14:112-119

院長ブログ“「三位一体」「大分トリニータ」めざせディビジョン1(J1)”
  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 15:25腎臓内科に関する事

2012年10月31日

インフルエンザウィルス感染症の出席停止期間

毎年、この時期になると話題となる「インフルエンザウィルス感染症」ですが、インフルエンザにおける出席停止期間については、「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令(平成24年文部科学省令第11号)」が、2012年4月2日に施行されました。

インフルエンザの出席停止期間の基準は、従来「解熱した後2日を経過するまで」とされていました。今回の改正では、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」となりました。

ただし、幼稚園に通う幼児については、「保育所における感染症対策ガイドライン」(平成21年8月厚生労働省)において、幼児では年長の児童生徒に比べて長期にわたってウィルス排泄が続くという事実に基づき、登園基準を「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」と改正されました。

改正要因としては、ヒトでの感染実験において、インフルエンザウィルス感染を起こさせた後、概ね2日目に発症(発熱)し、さらに5日を経過した後(感染を起こさせて後7日経過した後)になると、ウィルスがほとんど検出されなくなるという結果があること。さらに、発症後に抗ウィルス薬を投与された場合、投与されなかった場合のウィルス残存率の調査において、薬剤種別及びウィルス亜型によりウィルス減量の速度に差があるものの、発症(発熱)した後5日を経過したところで、ウィルスの体外への排出がほぼなくなる等の報告を踏まえて、出席停止期間は、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで(幼児は、解熱した後3日を経過するまで)」と改めるのが適当とされました。

オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)等をはじめとする抗インフルエンザウィルス薬の投与が一般的となったことも改正に影響を及ぼしています。当院のような市中クリニックにおいてもインフルエンザウィルス感染症の有無について、迅速評価可能となり、早期治療対応できる様になりました。この結果、抗インフルエンザウィルス薬投与によって、感染力が消失していない段階においても解熱効果がえられており、従来の「解熱した後2日を経過するまで」を基準にした停止期間では、感染症の蔓延予防という目的が達成できないことになります。

抗インフルエンザウィルス治療薬が普及し、ウィルスの排出は続いていても熱だけは早期に下げられるようになった一方で、感染者は発症直前から発症後3~7日ほどの間はウィルスを排出するとの知見も出されています。

当院においては、以上のことを踏まえ、インフルエンザウィルス感染者の学校出席停止期間や、就労されている方の職場復帰までの自宅安静療養期間については、重篤な合併症を発症していない限り、受診治療開始後7日間程度としています。


〜百日咳と流行性耳下腺炎も改正されました〜
今回の「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令(平成24年文部科学省令第11号)」では、百日咳と流行性耳下腺炎も見直しされました。

百日咳の出席停止期間を 従来の「特有のせきがきえるまで」から 「特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで」

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の出席停止期間を 従来の「耳下腺の腫れが消えるまで」から 「耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後(腫れが出た後)5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」とされました。


関連資料
学校保健「学校感染症による出席停止」
厚生労働省「学校保健安全法施行規則改正に関する報告書」
学校において予防すべき感染症の指導参考資料の作成協力者会議
Hayden FG,Fritz RS,Lobo MC,Alvord WG,Strober W,Straus SE. Local and systemic cytokine response during experimental human influenza A virus infection J.Clin.Invest 101 : 643-649  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 21:01医院について

2012年09月27日

L-FABP(尿中肝臓型脂肪酸結合蛋白)尿中エルファブとは

新しい腎疾患診断用の尿中バイオマーカーとなる「L-FABP」についての説明会が、開発元であるシミックホールディングス株式会社によって2012年9月20日に当科コミッティールームにて行なわれました。

「L-FABP」とは、Liver-type Fatty Acid Binding Protein(肝臓型脂肪酸結合蛋白)の略称で、肝臓と腎臓の 「近位尿細管」で特異的に発現する分子量14 kDaの脂肪酸結合タンパク質です。腎障害が起こり、肝臓から排出された「L-FABP」が腎臓で再吸収されなくなった場合に、尿中に排出されます。(腎機能障害がない場合は、肝臓から排出された「L-FABP」は腎臓で再吸収され、尿中にはほとんど現れません。)
「尿中L-FABP」は、腎近位尿細管の細胞質由来の物質で、尿細管の虚血や尿細管への酸化ストレスによって尿中に排泄されるため「尿細管機能障害を伴う腎臓疾患」の早期診断に有用とされています。

従来、早期腎臓機能障害の指標としては、「尿中アルブミン」検査が一般的でした。
しかし、「尿中アルブミン」検査は、広義でのCKDに対する保険適応はありません。
現在、日本における「尿中アルブミン」検査は、早期の糖尿病性腎症の診断においてのみ保険適応となっています。
しかし、CKDの早期診断には有用であることから、腎臓病早期発見推進機構IKEAJのKEEP検診の検査項目に含まれており、当院では毎月第4火曜日午前に完全予約制で無料検診を実施しています。
KEEP無料検診については、当院までお問い合わせください。

一方、「尿中L-FABP」は、広義でのCKDに対して保険適応となっています。原則的に3ヶ月に1回に限り算定可能となっており、「尿中アルブミン」と同日同時測定についても縛りがなく両者測定も可能となります。また、同時測定の意義としては、糖尿病患者のうちeGFR60以上の患者群で「尿中L-FABP」と「尿中アルブミン」の両者ともに異常値を示した群は、他群(いずれか一方のみ異常を示した群)に比較し、腎機能が有意に低下している事を開発元データ上で明らかにしています。
従って、尿細管機能を反映する「尿中L-FABP」は、糸球体障害の指標である「尿中アルブミン」と同時に測定することによって、早期糖尿病性腎症の病期進行リスクを判別可能とする非常に有用なバイオマーカーとなります。
広義でのCKD患者管理においても有用性のある尿中バイオマーカーとなります。

当科では、臨床研究の中で「L-FABP」を含む評価も行なってきましたが、
「早期腎機能障害の指標」として2011年8月11日より健康保険適応開始となっています。

「L-FABP」には、専用Webサイトがあります。
http://www.anywhere-plus.org/l-fabp/info/
「L-FABP」に関するFAQや各文献の案内が掲載されており、
一般の方でも理解しやすく参考になるページとなっています。
ぜひ皆さんもアクセスしてみてください。  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 18:28腎臓内科に関する事

2012年08月12日

患者と医療者で「ともに考える」“腎生検の適応”

“患者と医療者で「ともに考える」インフォームド・コンセントの手引き”
文部科学省 科研費事業“ともに考える医療”のための新たな患者-医療者関係構築を目的とした実証・事業研究の一環として2012年2月に作成されました。
研究責任者:尾藤誠司先生(独立行政法人国立病院機構東京医療センター) 

インフォームド・コンセントを本来の目的である、「患者にとって良いことを決めるための相談」のプロセスに向けるよう、舵を切るうえで考えたのがこの手引きです。
手引きは、医療関係者以外に法令の専門家や倫理の専門家、コミュニケーションの専門家や市民活動家等、様々な方とともにつくられています。

この手引きの特徴は、左側は患者さん用ページ、右側は医療者用ページになっていて、
同じ内容をそれぞれ別の立場を想定した上、文言を変えて記載されています。

当院では、“ともに考える医療”Followerとして、医療者だけでなく患者さんにもこの手引きについて認知して頂きたく、外来待合室に配置しています。診療待ち時間などで確認することができます。ご希望の方は、1F受付でお問い合わせ下さい。

手引きは、「もはやヒポクラテスではいられない」21世紀 新医師宣言プロジェクトHP
よりPDFダウンロードすることも可能です。「院長ブログ」に来て頂きました患者さん、医療者さんの皆さんで関心のある方は、是非アクセスしてみてください。
“患者と医療者で「ともに考える」インフォームド・コンセントの手引き”ページ

この手引きの “患者と医療者とのコミュニケーションにおける一般的な注意点”の中で
「患者への推奨事項」として、ささえあい医療人権センターCOMLから発行されている「新・医者にかかる10箇条」についても案内しています。(この10箇条は、COMLが研究班の一員として素案づくりを手がけ、インフォームド・コンセントに患者が主体的にかかわっていくことを願って、1998年厚生省「患者から医師への質問内容・方法に関する研究」研究班から発表されました。)

新・医者にかかるための10箇条 出典 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)より
 1 伝えたいことはメモして準備

 2 対話の始まりはあいさつから

 3 よりよい関係づくりはあなたにも責任が

 4 自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報

 5 これからの見通しを聞きましょう

 6 その後の変化も伝える努力を

 7 大事なことはメモをとって確認

 8 納得できないときは何度でも質問を

 9 医療にも不確実なことや限界がある

10 治療方法を決めるのはあなたです


患者が自分の望む医療を選択して治療を受けるためには、まずは「いのちの主人公」
「からだの責任者」としての自覚が大切です。

患者が主人公になって医療に参加するためにどのような心構えで医療を受ければよいのかをまとめたものです。「いつから」「どこが」「どのように」具合が悪いかを具体的に医師や歯科医師に伝えましょう。

また、これまでにかかった大きな病気や現在服用中の薬の名前、過去に起こした副作用など細かいことを伝えられると、医師や歯科医師の方も判断がしやすくなり、適切な治療を受けられることにも通じます。
 
伝えたい内容や質問したいことは、簡単にメモをしておくと良いでしょう。
診断には、診察後すぐに診断される場合と、いくつかの検査を行いその結果により診断される場合とがあります。

どのような検査や治療が必要かなど自分自身の病気のことですから納得いくまで聞きましょう。大事なことはメモを取っておくようにしましょう。

特に自由診療の場合、検査や治療にかかる費用やその内容などについて十分確認してから治療を受けるようにしましょう。
 
診断や治療に疑問や不安があるから、あるいは、症状が良くならないからと、医師や歯科医師に相談せずに次々に医者を替えても決してプラスにはなりません。治療を振り出しに戻し、新たに余分な医療費がかかることになります。
 
厚生労働省の方針として、初期診療や慢性疾患で症状が安定している場合などは、
「診療所(かかりつけ医)」で治療を行います。


診察の結果、専門的な検査、診察や入院が必要と診断され場合は、診療所から紹介してもらい、治療に適切な機能を有する病院で治療を行います。

このように医療機関は機能分担と相互の連携が行われています。病気になり気になる症状が出た場合、まずは近所の診療所(かかりつけ医)にかかり、必要に応じて紹介状を書いてもらい、適切な医療機関を紹介してもらいましょう。これは、大きな病院に上手にかかるコツとも言えます。

慢性腎臓病CKD診療においても、医療連携が取組まれる様になってきました。

腎臓専門医へ紹介することが望ましい基準(CKD診療ガイド2012より)
1)尿蛋白 0.50 g/gCr 以上 または検尿試験紙で尿蛋白2+以上
2)蛋白尿と血尿がともに陽性(1+以上)
3)40 歳未満 GFR 60 mL/分/1.73㎡ 未満
  40 歳以上 70 歳未満 GFR 50 mL/分/1.73㎡ 未満
  70 歳以上 GFR 40 mL/分/1.73㎡ 未満

腎臓専門医への紹介基準
CKD診療ガイド2012(PDF資料ほか)「CKD患者を専門医に紹介するタイミング」より

腎臓専門医側の診療の中で、上記1)〜 3)に基づき紹介頂いた患者さんに対しての精査(腎生検を含む)及び治療介入を行ないます。

ここでは、患者さん、医療者(特にかかりつけ医)には、
「腎生検適応」についての一般的知識を知って頂きたく、以下にご説明します。

【腎生検の目的】
①腎疾患を病理学的に診断すること。
②予後や治療効果を推定すること。
③治療方針を決定することにあります。

【適応となる病態】
①検尿異常(蛋白尿・血尿)
②ネフローゼ症候群
③急性腎不全
④移植腎などがあげられます。

【禁忌となる病態】
①出血傾向
②機能的片腎
③萎縮腎
④管理困難な高血圧などがあげられますが、絶対的なものではありません。

無症候性血尿は最も頻度が高い検尿異常でありますが、すべてが腎生検の適応となるとは考えられていません。血尿の程度が高度な場合や、尿沈渣所見によって尿中赤血球の形態を観察して変形赤血球が、多数認められる場合には糸球体疾患(遺伝性腎炎[Alport症候群・thin basement membrane disease など] や原発性糸球体腎炎、特に、IgA腎症)を疑い腎生検を施行することが多いです。

しかし、一般的に血尿のみの例では尿路系疾患(腫瘍、結石、感染症など)を鑑別することが最も重要で、泌尿器科的な精査を優先すべきです。蛋白尿のみの例では、定性検査で尿蛋白が(1+)~(2+)程度が持続し、1日尿蛋白量が、0.3 ~ 0.5g 以上(随時尿における尿蛋白/クレアチニン比)の場合には腎生検を施行し、糸球体疾患を鑑別する必要があると考えられています。学校検尿、就職時の検診、生命保険加入時などの情報を収集することも重要です。

血尿と蛋白尿を認める場合には糸球体疾患の可能性が高く、より積極的な腎生検の適応となります。特に、尿沈渣で赤血球円柱を認める場合には腎炎の活動性が高い可能性があり病理学的評価が必要となります。また、それまでに検尿異常の病歴がない例で検尿異常がみられた場合(急性腎炎症候群)も適応となります。
起立性蛋白尿を代表とする良性蛋白尿が明らかになれば、腎生検の適応はありません。

腎生検が禁忌となる病態に関して普遍的に統一された見解はありませんが、最も問題になるのは出血傾向です。血小板数、出血時間、凝固時間などを検査して総合的に評価しなければなりません。腎の数や形態の異常がある場合には経皮的腎生検は原則として禁忌と考えられています。片腎は機能的な意味で、2つの腎臓を保有していても一方の腎が低形成や高度の萎縮腎である場合にも片腎として判断しなければなりません。安全な腎生検の施行という観点からは、経皮的腎生検は原則として禁忌と考えられ、開放腎生検の適応について考慮します。なお、移植腎生検は機能的には“1腎”ですが、経皮的腎生検の適応となります。その他、多発性嚢胞腎、水腎症などは腎生検禁忌です。これらの評価のためには、腎臓超音波検査が有用です。

成人では腎生検の適応を決定するうえで腎径を評価することは最も重要です。当院では、腎臓超音波検査によって、両腎の長・横径を計測しています。腎機能障害が高度でも腎径が3椎体以上(腎臓腫大が確認された)場合には急性腎不全の可能性が高く、腎生検による組織学的評価は原因を究明し、治療方針を決定するうえで有用な場合があります。腎機能障害を認め、腎長径が、超音波検査にて 8 ~ 9 cm未満の腎は、萎縮腎の可能性が高く、出血合併症の危険性が高く、組織学的評価は困難な場合が多く、腎生検の有用性は低いと考えられています。


参考文献:腎生検ガイドブック―より安全な腎生検を施行するために―
(編集 日本腎臓学会・腎生検検討委員会:発行2004年5月)

腎生検によって得られた組織は、光学顕微鏡診断に加えて、検体を蛍光染色で染めて免疫的診断も行ない、さらに電子顕微鏡での最終診断を行ないます。

当院においては、外来診療の中で「腎生検適応の有無評価」を行なっています。
「腎生検適応」となった患者さんは、大分大学医学部附属病院腎臓内科にて腎生検を行なっています。(2012年8月現在)

患者さん(職場検診や特定健診など)、医療者(特にかかりつけ医)の方で、尿蛋白2+以上または、蛋白尿と血尿がともに陽性(1+以上)を確認された場合は、「腎生検適応」となる場合がありますので「松山医院大分腎臓内科」までお問い合わせ下さい。


参考サイト
「もはやヒポクラテスではいられない」21世紀 新医師宣言プロジェクトHP
“患者と医療者で「ともに考える」インフォームド・コンセントの手引き”ページ
COML(コムル)とは?
私たち一人ひとりが「いのちの主人公」「からだの責任者」。そんな自覚を持った「賢い患者になりましょう」を合言葉に、COMLは1990年9月に活動をスタート。
COML(コムル)厚生労働省PDF資料より
日本腎臓学会発作成の診療ガイドライン
CKD診療ガイド2012 日本腎臓学会(PDF資料ほか)
蛋白尿の読み方「尿蛋白/尿中クレアチニン比」の意味「院長ブログ」2012年4月23日号
「学校検尿」は何のために行われるの?「院長ブログ」2012年4月5日号  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 22:23腎臓内科に関する事

2012年07月11日

“1円玉からはじめられるトリニータへのキモチ”

「大分トリニータ」は、田坂和昭監督2年目となる今季のスローガンを「挑戦×頂戦」とし、J1昇格に照準を合わせて戦っています。J1昇格のためには、3年前の経営危機時にJリーグからの借金6億円のうちの、残り3億円を2012年10月上旬までに完済することが条件となっています。

この状況の中、Jリーグディビジョン2第23節が7月8日(日)に開催。「大分トリニータ」が敵地でVS草津に2-0で勝ち、ついに今季初めて首位に立ちました。トリニータは35分、FW高松大樹選手がこぼれ球に頭から飛び込んで押し込み先制。62分にFW森島康仁選手が追加点を挙げると草津に得点を許さず、勝点を44へ伸ばし、他の上位陣が勝利できなかったため、一気に3位から首位へジャンプアップしました。

「大分トリニータ」を支援する大分県民としてできることは?
私自身「大分トリニータ後援会」メンバーですが、何かできる現実的な行動としては、
“1円玉からはじめられるトリニータへのキモチ”「トリニータ募金箱」設置登録機関の一つになることを決定しました。

募金箱を通じて、「大分トリニータ」の存在を多くの方々に知って頂く機会にもなるのではと思いました。松山医院大分腎臓内科では、「トリニータ募金箱」の設置を2012年7月11日より開始しました。



また、サッカーに全く興味の無い方々にも「大分トリニータ」の動向には、関心を持って頂きたく、この「院長ブログ」には、「Jリーグ公式ブログパーツ」をデフォルト設定しました。ブログパーツは、自身のブログ上に最新の試合日程、結果をすぐにチェックすることができ、更にパーツ下部にある「その他」のセレクトで、その他のクラブや、日程一覧・順位表を閲覧することが可能です。試合当日は、速報リンク表示も示され、最新の試合結果が確認できます。

ご自身のブログをお持ちの方で、以下の様な「トリニータのパーツ」装着を試みたい方は、コチラへアクセス下さい。



皆さんに訪問頂きましたこの「院長ブログ」上では、向かって左側の「サイドバー」に表示されるデフォルト設定にしています。
←個人ブログをお持ちの方は、この様なサイドバー表示設定をお勧めします。

尚、個人ブログをお持ちで無い方で「大分トリニータ」の現在の順位や試合Live経過を確認したい方は、試合時間帯に「院長ブログ」にアクセス頂けますと試合中の速報live得点経過及び試合終了の場合は、最新の順位情報が確認できます。

「大分トリニータ」サポータの方は、ぜひ「院長ブログ」登録をお勧めします。

「大分トリニータ」の起源となる「三位一体」を「院長ブログ」2012年5月7日号で取り上げました。この時に現在の順位(首位に立つこと)をイメージしていました。三つの歯車がシッカリかみ合ってこそ「大分トリニータ」のJ1昇格が現実のものとなります。
最も重要なことは、「三位一体」の一つとなる私たち「大分県民」が、一人でも多くスタジアムに足を運ぶことです!


TIPS
「大分トリニータ」チームカラー
ロゴ・タイプ・エンブレムに使用する色は、「大分の自然を意味する」ブルーと「太陽の光を意味する」イエローの2色をOITA TRINITAのチームカラーとする。
「大分トリニータ」T-FLARE(T-フレア)エンブレム
チーム・選手・サポーターが勝利へ向かい突き進む、あふれ出る情熱・パワーをモチーフ。3方向へ別れたTフレアは大分トリニータのクラブ名の由来であるトリニティ(三位一体:県民・企業・行政)の力を結集し、チームを育てていくことを意味している。
大分県の頭文字であるアルファベットのOとホームスタジアムであるビッグアイの形状をモチーフに、 T-FLARE (T-フレア)をシンボルとしたエンブレムデザイン。
「大分トリニータ」公式サイト「プロフィール–クラブについて」のページより。


関連リンク
◇「院長ブログ」2012年5月7日号
「三位一体」「大分トリニータ」めざせディビジョン1(J1)
元気なエンターテイメント  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 19:12医院について

2012年07月03日

歯周病(病巣感染)と生活習慣病(全身疾患に及ぼす影響)

「身体のどこかに限局した慢性感染病巣(原発病巣)があって、それ自体は無症状か軽微な症状を呈するに過ぎない。しかし、これが原因になって原発病巣とは直接関係のない遠隔の諸臓器に反応性の器質的あるいは機能性の障害を起こす病像、いわゆる二次疾患をさす」と病巣感染は定義されている。

私事ですが、右下側にコンディション不良の歯「歯周病」が1本あり、歯科治療の経過で主治医に1年以上これまで何とか抜歯しない方法で経過Follow頂いていましたが、コントロール不良遷延化にて今回、半抜歯(6歳臼歯は根が2つあり片方を抜歯)施行されました。

「歯周病」について確認してみます。日本歯科医学会の「歯周病の診断と治療の指針」
によると、「歯周病」は歯周疾患ともよばれ、歯肉、セメント質、歯根膜および歯槽骨よりなる歯周組織に起こるすべての疾患をいう。

ただし、歯髄疾患の結果として起こる根尖性歯周炎、口内炎などの粘膜疾患および歯周組織を破壊する新生物(悪性腫瘍など)は含まない。

「歯周病」は、プラーク中の口腔細菌が原因となって生じる炎症性疾患であり、「歯肉炎」と「歯周炎」とに大別される。

さらに、「歯周病」には非プラーク性歯肉病変、歯肉増殖、壊死性歯周疾患、歯周組織の膿瘍、歯周‐歯内病変、歯肉退縮および強い咬合力や異常な力によって引き起こされる咬合性外傷が含まれる。

また最近、「歯周病」は「生活習慣病」として位置づけられ、食習慣、歯磨き習慣、喫煙、さらに糖尿病などの全身疾患との関連性が示唆されており、患者個人の生活習慣の改善、「自助努力なくして歯周治療の成功はあり得ないと言ってもよい。」とされている。

「歯肉炎」の特徴
種々ある歯肉炎のうち、主なものは「プラーク性歯肉炎」。
口腔清掃を中止してプラークが歯面に付着・増加すると2~3 日で歯肉に炎症徴候が生じる。プラークは歯・歯肉・修復物および補綴物などに付着する多数の細菌とその代謝産物から形成される。これには、プラークを増加させたり、プラークの除去を困難にする因子である「プラークリテンションファクター」および患者の生活習慣が大きく関与する。

プラークリテンションファクター:プラークコントロールを困難にしたり、プラークの停滞を促進する誘因となる「歯石・歯列不正・小帯異常・不適合修復・補綴物などがあるとプラークを付着・増加させたり、プラークコントロールを阻害する」これらの因子のことをいう。

口腔衛生習慣の改善により、日本人の虫歯は減少してきました。

しかし、「歯周病」はあまり減少することなく、現在でも30歳以上の成人の約80%が「歯周病」にかかっており、歯の喪失原因の第1位になっています。
日本臨床歯周病学会では、「一般の皆様へ」のQ&Aサイトを開設しています。皆さんも自己チェックをお勧めします。

また、日本臨床歯周病学会では、「歯周病が全身に及ぼす影響」について
以下疾患について分かりやすくまとめています。コチラも確認してみましょう。
歯周病と関連する全身疾患
◇心臓疾患(狭心症・心筋梗塞)・脳血管疾患(脳梗塞)
◇糖尿病
◇妊娠(妊娠性歯肉炎・低体重児早産)
◇誤嚥性肺炎
◇骨粗鬆症
◇関節炎・腎炎
◇メタボリックシンドローム

そして、慢性腎臓病(IgA腎症)における病巣感染の好発部位は扁桃、副鼻腔、鼻咽腔、および歯科領域です。病巣感染については、「IgA腎症根治治療ネットワーク」のサイト内で詳細に解説されています。

当院での「IgA腎症」に対する治療は、「IgA腎症根治治療ネットワーク」に準じて実施しています。「IgA腎症」の方は、是非サイトチェックをお勧めします。

また、「IgA腎症根治治療ネットワーク」の代表で、「扁摘パルス療法」の師匠である堀田修先生は、仙台市内の自院において診療展開されています。

堀田先生は、歯科治療にも取組まれています。WEBサイトのインフォメーションに示されていましたが、糖尿病・慢性腎臓病・膠原病などの全身疾患に対する治療の一環として「3Mix-MP法」を中心とした「内科的歯科治療」を実施しているところには、「木を見て森も見る医療の実践」を掲げる先生の真摯な姿勢であり、深く感銘を受けました。

「3Mix-MP法」は、新しい治療法となります。大分市にはこの方法で治療をされる歯科医院は未だ無い様です。自身の歯のコンディションについては、改善しない慢性感染状態の遷延化した結末となる、いわゆる二次疾患発症も危惧し、根治療法(今回半抜歯)を主治医に施行して頂きました。

「IgA腎症」における「扁摘パルス療法」は、多くの腎臓専門医に認知されてきましたが、歯科疾患における「3Mix-MP法」についても今後の展開に注目していきたい治療法です。

いずれにしても「歯周病」は、「生活習慣病」として捉え、日々の家庭生活における自己管理をシッカリ行う(自身については、特に睡眠時間をある程度は確保する!)ことが最も重要であることを身をもって確認しました。

しかし、レセプトシーズン「眠れない夜」が今日も続きます。


関連サイト
日本歯科医学会
日本臨床歯周病学会
IgA腎症根治治療ネットワーク
堀田 修クリニックーHOCー  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 02:14腎臓内科に関する事

2012年06月20日

透析患者さんを対象とした「透析治療についての意識調査」

社団法人全国腎臓病協議会(本部:東京都)とバイエル薬品株式会社(本社:大阪市)は、透析治療をより効果的に進め、患者さんのQOL向上の一助になることを目的に、透析患者さんを対象に「透析治療についての意識調査」を行ない、2012年5月31日に結果を発表しています。

■ 透析治療に関する意識調査

<調査概要>

調査対象:現在透析治療を受けている患者(20代~70代男女)

調査方法:インターネット調査

有効回答:200人

調査地域:全国

調査期間:2012年4月19日~23日

◇ 透析で負担になっていることで最も多い回答は、「透析時間が長い」が60.5%、「透析の回数が多い」で47.0%でした。

◇ 透析治療に関するガイドラインについては、「知っている」と答えた患者は約4割。また、ガイドラインに基づく治療を希望する患者は6割あり、治療についての情報が充分に行き渡っていない面も露呈されました。

◇ 患者は、医師からの薬の効果や副作用についての充分な説明を希望しており、自分でも透析や治療薬について調べ、勉強するなど、治療に真剣に取り組む様子がうかがえる結果でした。

◇ 全腎協の宮本髙宏会長は、「今回、日本透析医学会の治療ガイドラインが改訂され、透析医療において、リンの厳格な管理が優先されることが指針として示されました。他のガイドラインの策定とともに、患者にとって提供される医療内容(質)が明確になることは、個々の治療生活の向上に繋がると考えられます。一方、今回の調査を通じて、患者自身の希望と治療に対する姿勢、医療者との間の情報の格差等が見られました。調査結果を基に、治療情報の収集と活用、医療者との関係をより深める等、患者にとって今後、より安心で充分な治療が受けられる環境整備に繋げていきたい」と述べています。 


医師・看護師・臨床工学技士・管理栄養士・薬剤師など透析管理に関わる私たち医療者は、検査結果や治療内容、日常生活状況などについて、患者さん各々の理解度や合併症状況に応じて画一的ではないテーラーメイド的多様化した介入が必要であり、日々の透析治療患者管理の中で確認していかなければなりません。

■ バイエル薬品株式会社 透析治療についての意識調査の詳細結果


postscript
東京と兵庫の2都県を対象とした患者調査の結果(厚生労働省にて公表)
「透析施設変更考える理由、3割は医師に不満」【2012年6月14日】
全国約10万人の腎臓病患者からなる「全国腎臓病協議会」は14日、透析患者が通院施設を変えようと考える理由の3割が医師への不満だという、東京と兵庫の2都県を対象とした患者調査の結果を公表した。同協議会の宮本高宏会長は、透析治療は長期に及ぶことが多いため、医師との関係が悪くなることを恐れて、不満や要望を伝えにくく感じているのではないかとみている。また、「患者自身が情報収集することで、医療者とコミュニケーションでき、治療の質が高まるのが好ましいが、患者が(一方的に医療者から)情報をもらう関係が固定化している」と、調査結果を分析。さらに、「(患者と医療者間の)関係と情報の流れが一方的になるのは、今後変えていかなければならない」と述べた。【佐藤貴彦】
◇ケアネット(医療ニュース)◇ヤフーニュース医療介護CBニュース

医療機関は、これらの患者意識調査結果に目を向けることも必要です。ここに取り上げました調査結果は、いずれも透析患者さんを対象としたものですが、透析医療に限らず医療者は、いつも新鮮なまなざしで患者管理を行なう姿勢が大切であり、一読頂きたい関連のWEBニュースをpick upしました。

関連サイト
◆全国腎臓病協議会
◆バイエル薬品株式会社 プレスリリース
◆医療介護CBニュース-キャリアブレイン  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 09:00腎臓内科に関する事