2013年02月28日

大分市慢性腎臓病病診連携システム

大分市は、国保加入者の人工透析患者の割合が高いことから、その原因となる慢性腎臓病対策として、大分市慢性腎臓病病診連携システム検討委員会を開催し、大分市版の紹介基準や紹介様式を作成しました。

当院は、2011年より大分市生活習慣病対策推進協議会の委員として活動し、
2012年より大分市慢性腎臓病病診連携システム腎臓専門医の委員の一員として今回の紹介様式の作成に取組んできました。

そして、行政(大分市)と大分市連合医師会が、本格的にシステムを円滑に起動させていくために医師会会員(かかりつけ医)を対象に「2012CKD診療ガイドライン」に基づいた基礎知識および大分市慢性腎臓病病診連携システム運営についての「CKD病診連携システム研修会」を各医師会(大分市・大分東・大分郡市)において実施しました。
大分郡市医師会は、2013年2月19日(火)に大分市稙田公民館大研修室において研修会が開催されました。当院は、所属する大分郡市医師会長の半澤一邦先生の命を受け、研修会の中で「CKDについて」の講義を担当しました。


大分市慢性腎臓病病診連携システムの概要

1 目的  
大分市は人工透析患者の割合が高い水準にあることから、医師会や腎臓専門医の在籍する医療機関と協議しCKDの発症予防や悪化防止のための総合的な取り組みを行い、年間の新規人工透析患者の減少を目指す。


2 腎専門医と病診連携とは
腎専門医 公的病院または準公的病院(医師会立病院)に在籍する腎臓内科医師
     日本腎臓学会の認定する腎臓専門医師
     大分市慢性腎臓病病診連携システム検討委員会で承認された医師

病診連携医(かかりつけ医) 
大分市慢性腎臓病病診連携システムに協力いただける、かかりつけ医師


3 紹介基準
腎専門医紹介基準【「2012CKD診療ガイドライン」に基づき作成】
年齢別eGFRによる紹介基準       eGFR値(単位:ml/min/1.73㎡)
    ①40歳未満          60未満
    ②40歳以上70歳未満     50未満 
    ③70歳以上          40未満
    ④3ヶ月以内に30%以上のeGFR値の低下

蛋白尿による紹介基準
    ⑤尿蛋白2+以上
    ⑥蛋白尿と血尿がともに陽性(1+以上)

「2012CKD診療ガイドライン」腎臓専門医への紹介基準 
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大分市慢性腎臓病病診連携システム






4 各種シート
    ①紹介シート
    ②保健所への連絡表
    ③返信シート
    ④CKD手帳(大分市で作成中)


5 大分市CKD病診連携システムの流れ(平成25年4月〜開始予定)
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大分市慢性腎臓病病診連携システム





6 連携の内容
    ①市民検診を受けた方で受診勧奨レベルの方に病診連携医を紹介
    ②病診連携医は、「紹介シート」により腎専門医に紹介
    ③病診連携医は、紹介情報を大分市保健所にFAXで送信
    ④腎専門医は、「返信シート」により病診連携医に返信
    ⑤「CKD手帳」のコメント欄を用いて、病診連携医、腎専門医で情報共有
    ※「紹介シート」、「返信シート」は、診療情報提供書として使用できます


7 今後の予定
・病診連携医の募集(2013年2月〜現在募集中)
・市報、ホームページに医療機関を掲載(2013年4月予定)
・「紹介シート」、「返信シート」連絡票は、ホームページからダウンロードできます
・「CKD病診連携ステッカー」を配布します

〈お問い合わせ〉
〒 870−8506 大分市荷揚町6番1号
大分市保健所 健康課 健康づくり推進担当班
TEL 536-2516 FAX 532-3250



TIPS
認定特定非営利活動法人 腎臓病早期発見推進機構
(IKEAJ:International Kidney Evaluation Association Japan)
当院は、地域になにか貢献できることはないかと模索しているなか、
「腎臓病早期発見推進機構(IKEAJ)」の活動に出会いました。
このNPO法人の腎臓病に関する知識と情報をみなさんと共有し、
腎臓病のリスクを減らしたいという考え方に共鳴し、
無料検診日を設け、地域のみなさまに来院していただけたらと思っております。

検診の対象は、高血圧または糖尿病で通院されており未だ腎障害の指摘を受けていない
患者さん、もしくは腎臓病の家族歴を有する方、そしてこの検診を希望する市民の方々
としています。当院は、九州ブロック代表としてパイロットスタディを実施中です。
詳細については、当院ホームページ(腎臓病早期発見検査のご案内)を参照下さい。

今回、IKEAJと当院で“IKEAJ-KEEP in OITA”のパンフレットを作成しました。
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大分市慢性腎臓病病診連携システム









また、IKEAJは、「CKD早期発見プログラム」についてより広く多くの方々へ
理解して頂くために早期発見啓発DVDを作成しています。
YouTubeで確認できます。


そして、毎年3月第2木曜日は、「世界腎臓デー」です!
大分市慢性腎臓病病診連携システム







「世界腎臓デー」のロゴも世界共通公式ロゴマークとして作られました。
2個の腎臓と3色の棒から構成されます。
「私たちの腎臓が、濾過(赤)浄化(青)除去(黄色)している
      血液(赤)余分な水分(青)尿(黄色)を表しています。」

当院では、2007年より3月第2木曜日の「世界腎臓デー」には、
院内コミッティルームにおいて医師・看護師・管理栄養士による
市民公開講座を毎年実施してきました。今回で7年目(7回目)となります
2013年3月14日木曜日も「世界腎臓デー市民公開講座」を実施致します。
参加ご希望の市民の方々は、当院までお問い合わせ下さい。



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Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 23:32 │腎臓内科に関する事