2012年11月24日

日本人工臓器学会(代謝系)最優秀論文賞受賞

2011年に“Journal of Artificial Organs”に私が筆頭者として投稿した
“Acetate-free blood purification can impact improved nutritional status in hemodialysis patients”Kazuhiro Matsuyama, Tadashi Tomo & Jun-ichi Kadota(邦題:アセテートフリー血液浄化法は、血液透析患者の栄養状態改善に影響を及ぼす可能性がある)が、第50回日本人工臓器学会大会(2012年11月22-24日)にて、平成24年度(代謝系)最優秀論文賞に選出され同学会で2012年11月23日に受賞講演を行いました。

本研究は、2007年に現施設に移転(原水から透析液作成過程までの全システム一新)後、
師匠である大分大学医学部腎臓内科友雅司診療准教授と供に行いました。
現在の「松山医院大分腎臓内科」として最初に実施した臨床研究を論文にしたものです。

選考委員会より“本論文は慢性維持透析における新しい透析液として注目をあつめている acetate free dialysate(AFD)の臨床的有用性を血液マーカーの変動で証明した唯一の論文である。AFD の有用性はこれまで in vitro や理論上では示されていたが、臨床研究で明確に示された論文は存在しなかった。本論文は、Leptin や neuropeptide Y のような栄養マーカーの変化から栄養に対する AFD の有用性を、また炎症反応サイトカインである IL6 血中濃度の変化と CRP の変化から AFD の抗炎症作用について立証した貴重な臨床研究論文と考える。症例数や観察期間が不十分との指摘があったものの、本テーマにおける臨床研究の困難さや新規性を考慮すると、本論文賞論文に十分値すると判断した。”との選考理由を頂きました。

第50回記念大会となる歴史ある日本人工臓器学会大会において、名誉ある賞を頂き、喜びと同時に責任の重さを感じています。

私たち「大分大学医学部総合内科学第二講座腎臓班(友雅司診療准教授)」は、「オンラインHDFは、病態とは無関係に“将来の合併症予防、有効なQOLの長期的維持を目的とする症例”に適用すべきである。」論じてきました。そして透析膜や本論文のテーマとなった透析液の生体適合性についての研究を続けています。本学会において、私たちの取組みが、間違っていなかったことを証明することができました。

慢性腎臓病対策と透析医療は日進月歩であり、関連する各分野において今日も新たな研究がなされています。日本は、透析医療の世界最先進国と言われていますが、合併症対策は不十分です。私たち腎臓専門医、透析専門医は、慢性腎臓病患者さんの合併症抑制、生命予後改善を目的とした、さらなるQOL向上を目指した全身管理を追求していかなければなりません。


追記
2012年11月23日には、大分県民にとって素晴らしい出来事がありました。
私たち大分県民の願いである「大分トリニータ」のディビジョン1(J1)復帰が確定しました。「院長ブログ」でもこの日を願い、応援ブログ“「三位一体」「大分トリニータ」めざせディビジョン1(J1)”を投稿していました。J1では、さらなる厳しい戦いが続くことになります。息つく余裕はありません。Jリーグチャンピオンを目指して「三位一体」を一層強固なものにしていかなければなりません。


関連リンク
日本人工臓器学会  
Acetate-free blood purification can impact improved nutritional status in hemodialysis patients  Journal of Artificial Organs (2011)14:112-119

院長ブログ“「三位一体」「大分トリニータ」めざせディビジョン1(J1)”
  


Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 15:25腎臓内科に関する事