2012年04月13日
「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン」
日本腎臓学会、日本医学放射線学会、日本循環器学会の3学会共同で
「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2012」が発刊されました。
日本腎臓学会のホームページから確認できます。
Q 造影剤腎症(contrast induced nephropathy:CIN)はどのように定義されるか?
A ヨード造影剤投与後、72時間以内に血清クレアチニン(SCr)値が前値より0.5mg/dL以上または25%以上増加した場合をCINと定義する。
CIN とは、ヨード造影剤による腎障害のことで、造影後に腎機能低下がみられ、造影剤以外の原因(コレステロール塞栓など)が除外される場合に診断される。一般に腎機能低下は可逆的であるが、症例により腎機能低下が進行し、人工透析が必要となる場合もある。
CIN のリスクファクターとしては、CKD・糖尿病性腎症・脱水状態・うっ血性心不全・低血圧・高齢・腎毒性を有する薬剤の使用などがあげられ、なかでも慢性腎臓病(CKD)は特に重要なリスクファクターである。また、一般にAKI(急性腎障害)の発症は生命予後に関連することが報告されている。CIN発症リスクは腎機能低下に応じて増加するので、造影前にできるだけ直近のSCr値を用いて腎機能を評価することが重要。慢性腎臓病(CKD)の腎機能による重症度分類(表1)では、GFR<60 mL/min/1.73㎡のG3a~G5がCKDに該当する。

上記の慢性腎臓病(CKD)の腎機能による重症度分類(表1)は、
日本人用に改変された「CKD診療ガイド2012(2009改訂版)」で登場します。
当院のホームページでの重症度分類は、KDIGO Controversies Conference 2009による分類を改変して表示しています。
関連文献
KDIGO Publications and Educational Materials
KDIGO Conference Reports and Review Articles:
The definition, classification, and prognosis of chronic kidney disease: a KDIGO Controversies Conference report
Kidney International advance online publication, 8 December 2010;doi:10.1038/ki.2010.483
「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2012」の目標は、造影剤を使用することによって起こる腎機能障害の発症を予防することである。そのため、造影剤を使用する患者に対する腎機能評価法の標準化と、造影剤使用の適正化を目的とする。
ガイドラインの対象は造影剤を使用する医師、造影検査を依頼する医師のみならず、造影検査に携わる診療放射線技師や看護師などの医療関係者である。と記載されています。
各項目「QandA」は簡潔形式で、背景と詳細解説で理解しやすいガイドラインです。
日本の慢性腎臓病患者数は約1330万人(成人の8人に1人)と推計されており、
慢性腎臓病患者と接する機会の多い医療従事者には、一読して頂きたい内容です。
※表1の中に訂正あり、修正更新しました。(2012年6月25日)
「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2012」が発刊されました。
日本腎臓学会のホームページから確認できます。
Q 造影剤腎症(contrast induced nephropathy:CIN)はどのように定義されるか?
A ヨード造影剤投与後、72時間以内に血清クレアチニン(SCr)値が前値より0.5mg/dL以上または25%以上増加した場合をCINと定義する。
CIN とは、ヨード造影剤による腎障害のことで、造影後に腎機能低下がみられ、造影剤以外の原因(コレステロール塞栓など)が除外される場合に診断される。一般に腎機能低下は可逆的であるが、症例により腎機能低下が進行し、人工透析が必要となる場合もある。
CIN のリスクファクターとしては、CKD・糖尿病性腎症・脱水状態・うっ血性心不全・低血圧・高齢・腎毒性を有する薬剤の使用などがあげられ、なかでも慢性腎臓病(CKD)は特に重要なリスクファクターである。また、一般にAKI(急性腎障害)の発症は生命予後に関連することが報告されている。CIN発症リスクは腎機能低下に応じて増加するので、造影前にできるだけ直近のSCr値を用いて腎機能を評価することが重要。慢性腎臓病(CKD)の腎機能による重症度分類(表1)では、GFR<60 mL/min/1.73㎡のG3a~G5がCKDに該当する。

上記の慢性腎臓病(CKD)の腎機能による重症度分類(表1)は、
日本人用に改変された「CKD診療ガイド2012(2009改訂版)」で登場します。
当院のホームページでの重症度分類は、KDIGO Controversies Conference 2009による分類を改変して表示しています。
関連文献
KDIGO Publications and Educational Materials
KDIGO Conference Reports and Review Articles:
The definition, classification, and prognosis of chronic kidney disease: a KDIGO Controversies Conference report
Kidney International advance online publication, 8 December 2010;doi:10.1038/ki.2010.483
「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2012」の目標は、造影剤を使用することによって起こる腎機能障害の発症を予防することである。そのため、造影剤を使用する患者に対する腎機能評価法の標準化と、造影剤使用の適正化を目的とする。
ガイドラインの対象は造影剤を使用する医師、造影検査を依頼する医師のみならず、造影検査に携わる診療放射線技師や看護師などの医療関係者である。と記載されています。
各項目「QandA」は簡潔形式で、背景と詳細解説で理解しやすいガイドラインです。
日本の慢性腎臓病患者数は約1330万人(成人の8人に1人)と推計されており、
慢性腎臓病患者と接する機会の多い医療従事者には、一読して頂きたい内容です。
※表1の中に訂正あり、修正更新しました。(2012年6月25日)
Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 18:35
│腎臓内科に関する事