2012年06月20日

透析患者さんを対象とした「透析治療についての意識調査」

社団法人全国腎臓病協議会(本部:東京都)とバイエル薬品株式会社(本社:大阪市)は、透析治療をより効果的に進め、患者さんのQOL向上の一助になることを目的に、透析患者さんを対象に「透析治療についての意識調査」を行ない、2012年5月31日に結果を発表しています。

■ 透析治療に関する意識調査

<調査概要>

調査対象:現在透析治療を受けている患者(20代~70代男女)

調査方法:インターネット調査

有効回答:200人

調査地域:全国

調査期間:2012年4月19日~23日

◇ 透析で負担になっていることで最も多い回答は、「透析時間が長い」が60.5%、「透析の回数が多い」で47.0%でした。

◇ 透析治療に関するガイドラインについては、「知っている」と答えた患者は約4割。また、ガイドラインに基づく治療を希望する患者は6割あり、治療についての情報が充分に行き渡っていない面も露呈されました。

◇ 患者は、医師からの薬の効果や副作用についての充分な説明を希望しており、自分でも透析や治療薬について調べ、勉強するなど、治療に真剣に取り組む様子がうかがえる結果でした。

◇ 全腎協の宮本髙宏会長は、「今回、日本透析医学会の治療ガイドラインが改訂され、透析医療において、リンの厳格な管理が優先されることが指針として示されました。他のガイドラインの策定とともに、患者にとって提供される医療内容(質)が明確になることは、個々の治療生活の向上に繋がると考えられます。一方、今回の調査を通じて、患者自身の希望と治療に対する姿勢、医療者との間の情報の格差等が見られました。調査結果を基に、治療情報の収集と活用、医療者との関係をより深める等、患者にとって今後、より安心で充分な治療が受けられる環境整備に繋げていきたい」と述べています。 


医師・看護師・臨床工学技士・管理栄養士・薬剤師など透析管理に関わる私たち医療者は、検査結果や治療内容、日常生活状況などについて、患者さん各々の理解度や合併症状況に応じて画一的ではないテーラーメイド的多様化した介入が必要であり、日々の透析治療患者管理の中で確認していかなければなりません。

■ バイエル薬品株式会社 透析治療についての意識調査の詳細結果


postscript
東京と兵庫の2都県を対象とした患者調査の結果(厚生労働省にて公表)
「透析施設変更考える理由、3割は医師に不満」【2012年6月14日】
全国約10万人の腎臓病患者からなる「全国腎臓病協議会」は14日、透析患者が通院施設を変えようと考える理由の3割が医師への不満だという、東京と兵庫の2都県を対象とした患者調査の結果を公表した。同協議会の宮本高宏会長は、透析治療は長期に及ぶことが多いため、医師との関係が悪くなることを恐れて、不満や要望を伝えにくく感じているのではないかとみている。また、「患者自身が情報収集することで、医療者とコミュニケーションでき、治療の質が高まるのが好ましいが、患者が(一方的に医療者から)情報をもらう関係が固定化している」と、調査結果を分析。さらに、「(患者と医療者間の)関係と情報の流れが一方的になるのは、今後変えていかなければならない」と述べた。【佐藤貴彦】
◇ケアネット(医療ニュース)◇ヤフーニュース医療介護CBニュース

医療機関は、これらの患者意識調査結果に目を向けることも必要です。ここに取り上げました調査結果は、いずれも透析患者さんを対象としたものですが、透析医療に限らず医療者は、いつも新鮮なまなざしで患者管理を行なう姿勢が大切であり、一読頂きたい関連のWEBニュースをpick upしました。

関連サイト
◆全国腎臓病協議会
◆バイエル薬品株式会社 プレスリリース
◆医療介護CBニュース-キャリアブレイン



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Posted by 松山医院大分腎臓内科 at 09:00 │腎臓内科に関する事